33話 ページ33
side 治
家に帰ると、やけに家が静かで。いつも漂ってくる飯の美味しそうな匂いもせんかった。
家出る前からA、なんかしんどそうやったけどこれはおかしい。静かすぎん？
そう思って、俺はゆっくり足音を忍ばせながら電気もつけずにリビングへ向かった。
すると、テーブルの上には開けっ放しの薬箱。そして、ソファーから覗く白い脚。
「A！おい、A！」
何回呼んでも返事はない。顔面蒼白ってこのこと言うんやろうな、ってくらい青白い顔。
とりあえずベッドに移して揺すってみたら目ぇ開けたけど、まだちょっとボーッとしとる感じやった。
小さく俺の名前を呼んだAに、胸がくすぐられるような感覚。
なんやこれ、今Aが緊急事態やっちゅーのに、俺…。
「夕飯、作らな…」
「お前フラフラやんけ、今日はええからここで寝とけ」
俺かて一人暮らししとってんから、飯くらい作れるわ。
病人にはお粥がええかな…でも精のつくもん食べた方がええんかな…。
俺なりにいろいろ試行錯誤しながら完成させたお粥。それを持ってAの眠る部屋に向かう。
静かにドアを開けると、Aは体を起こしてジッと俺の方を見ていた。
なんや、めっちゃ目ぇうるうるしとるし、熱のせいか上気して赤く染まった頬も…。
って！何考えとんねん！相手病人やぞ！！
Aの体に障ったらあかん思て静かに唇を噛み締めて自分を戒めとると、宮？といつもよりハリのない声が俺を呼んだ。
あかん、やっぱめちゃくちゃかわええ。しおらしいからとかやなくて、フツーにかわええ。
これ食えるか？とお粥を差し出せば、黙ってもそもそ食べ始める。熱さとか大丈夫か？味は？
俺が心配そうにAを見ているのがわかったんか、Aはちょっと笑って美味しいで、と言う。
良かった…久しぶりやからな、上手くできて良かったわ。
そう思って食器を片付けるために座っていたベッドから立ち上がろうとすると、クンッと服の裾を引っ張られた。
……うん？
「なんや、どないしたん？」
「…って、…い」
「？」
何を思ったんか、俺はAの髪を撫で、そっと口元に耳を近づける。
なんか言っとるみたいやけど、声が小さくてなんも聞こえへん。
すると、ボソボソと吐息まじりに話すAの少し掠れた声がすんなりと頭の中に入ってきた。
「行かんとって…お願い…」
………なんや、今の。
驚いて目を見開いた俺の頭にAはまた大きな打撃を打ち込んだ。
「なぁ、アタシ…───────」
「…は、」
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松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！！最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です！ (8月5日 17時) (
レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります！ (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか？ (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
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