養ってください。【宮治】

25話 ページ25

酔い潰れた5人を見下ろし、溜息を吐く。良い大人が酔い潰れるまで飲むな。

どうしよっかな、と思いながらとりあえず1人はソファー、1人はベッド、1人は床に転がした。
机で突っ伏しとる2人はそのままおってくださいね。

それにしても…。


「なんやこのイケメン空間…」


顔面偏差値で横殴りしてきよる。キッツ。

途中からお風呂に入った木兎さんのあの髪の毛パワーには驚かされたけど、及川さんのこのふわふわ猫っ毛もなかなか…。

いや、アタシ変態ちゃうで、男の髪の毛触って楽しむ趣味ないで。

起きる気配がない5人は置いといて、アタシは食器洗いにかからなあかん。
そーっと食器を持ってシンクへ向かう、を何度も繰り返していると、伸ばされた長い長い脚を踏んでしまった。

あっぶなー、心臓止まるか思たわ。

これで起きへんとか流石すぎへん？ていうか商売道具傷つけへんでよかった〜。

及川さん全然起きへんな…と思いつつジッとその顔を見つめる。
…木兎さんもなかなかやったけど、及川さんやっぱカッコええ顔しとるな…。


及川さんはテレビつけててもよぉ見るしな。
この前なんか『バレー界イケメン特集』って言う雑誌の表紙飾っとってビックリしたわ。

ちなみにそこには影山くんも宮侑…侑も載っとった。流石やで。

でもなんか、ちゃうねんなぁ。宮と。

及川さんもカッコええねんで？カッコええんやけど、でも…。
宮とはなんかちゃうカッコ良さ？っていうか…。

及川さんはどちらかと言えば、アイドルみたいなカッコ良さや。別に、カッコいいとは思うけど好きにはなれへん、ガチ恋はせーへんみたいな。
けど、宮は───…。

あかんあかん、こんなんアタシ、宮のこと好きみたいやん。大体顔やったら侑かて同じ顔しとるし…。


「…侑とも、なんかちゃうな…」


なんなん、この差。

もしかしてアタシ…宮のこと…。


「好き……とか？」


そう自覚した途端、突然顔に熱が集まる。

嘘やん、ほんまに？アタシが？恋？
しかも相手はあの宮。ありえへん、一番ナイと思っとったのに。

急いでシンクに皿を運ぼうとテーブルの上に残っとるグラスを持とうとすると、ガシッとその手を掴まれる。
それに驚いて動作が止まると同時に、触れられたところが少しずつ熱を帯びていく気がした。


「宮ッ…何、起きとったん…？」


ってことは、さっきの独り言も…。


「…なんや、突然サムと仲良なって……」
「は？」


そう言ったのを切り目に、また規則正しい寝息が聞こえる。

…なんやねん、寝言かいな。

あぁ……めっちゃ、好きやん、自分。最悪や。

26話→←24話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す