21話 ページ21
次の日の朝。眠れんかったアタシは、朝早くから台所に立って朝食を用意しとった。
静かな空間の中に一人でおると、どうしても昨日の宮のバックハグが頭に浮かんでまう。
あぁ、もう!!
アタシは誤魔化すみたいにして、ジュウジュウと音を立てている卵をグチャグチャにした後お皿に盛り付けた。
あぁ…怨念のこもったスクランブルエッグ作ってもーた。
まぁ味は変わらへんしええやろ、と思ってテーブルの上に置くと、ジッとこっちを見つめてくる宮と目が合う。
なんや、イケメンな顔朝からこっち向けんといてや。目ぇ潰れるわ。
もしかして卵焼き作ろうと思って失敗したんバレたんやろうか。いやまさかそんなはずは。
不思議に思って首を傾けると、いただきます、と小さく呟いた宮が黙々と朝食をそのブラックホールに吸い込んでいく。
なんや、なんかモヤモヤする。
ガコガコと全然取れへん隅の方の埃を吸い込もうと掃除機を壁に当てながらボーッとする。
…下手したら、意識しとんのアタシだけなんやろうか。
え、絶対そうやん、だって普通、年頃の女抱きしめて次の日平然とかある?
アタシが読み漁ってきた少女漫画ではそんなシーン一個もないで。
普通こう言うイベントみたいなんがあった後はお互い気まずくて、“あ、お、おはよ”“ん、はよ…”とかドギマギするんちゃうん。
あれ?アタシの認識が甘いんか?
宮にとってアタシってペットみたいなもんなんかな。
こう言うときに相談できる女友達、おれへんねんなぁ。
うんうん唸りながら掃除をしていると、割りかし掃除は捗った。
この前セールの時に買いあさった野菜も肉もまだ冷蔵庫の中あるよな、と確認して、アタシはソファーになだれ込む。
…意味わからん、宮が理解できん。
片割れならなんかわかるんやろうけど、連絡するほど親しくもなかったし、こんなんアイツに話したらいつどうやってどこに広まるかわからへんからな。
アタシの宮侑に対する信頼度がかなり低いことにちょっと笑いを溢しながらテレビを点けると、そこに映ってたんは宮によく似た別の誰か────そう、さっき信用がないと言い切った宮侑やった。
綺麗なアナウンサーのお姉ちゃんにインタビューを受けるその姿は、アタシが毎日見とるアイツにそっくりや。
ビッグになったなぁ、とか思いながらテレビ画面を見ていると、記者が質問し始める。
恋愛の質問が多いんは、やっぱ顔が良いからやな。
「ハグは、好きな子と以外しないんでしょうか?」
「あぁ、できますよ、好きやなくても」
その言葉がなんでかツキッと胸に刺さる。
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松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です! (8月5日 17時) (レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります! (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか? (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
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