養ってください。【宮治】

13話 ページ13

予約した時刻が18時だと言うので、あまり遅くならないためにもアタシが先にチェックインする。
宮は店じまいしてからやからな。

店の中で待ちながら、ぼーっとメニューを眺めているとふとある考えが浮かんだ。


…これって、デートなんやろか？
年頃の男女が二人で出かけるんはデート？せやけどお互い気持ちはないし…ただの友達とディナー的な？

わからへん、宮がわからへん。
あんな顔で夕飯誘われたら普通の女やったら目ぇハートになってOKするんやろうけど…アタシ普通ではないからなぁ。


「ご注文はお決まりですか？」
「あ、連れが来るまで大丈夫です、ありがとうございます」

そう言って持ってきてくれたお水を飲む。
…今から焼肉食べるけど、大丈夫かしら。食べ放題で予約はしてないって言ってるから、メニューの中に食べ放題があるんやろ。

美味しそうなお肉たちや、とか一人で考えながらメニューをパラパラめくっていると、連れがおるんで、と言うイケボが聞こえてきた。

「宮〜！こっt…えっ」
「あ、A！ホンマごめんな、なんか店じまいする前にめっちゃ人来て」

うわぉ…大人の色気溢れ出とる…。

周りに座っとる女(人妻含め)がめっちゃこっち見とる…せやんな、こんなイケメンくると思ってへんよな。アタシも。

普段ダボダボのスウェット着とるとこばっか見とるからか、一丁前にお洒落した宮はやっぱりかっこいいと思う。
ギャップってやつに人間は弱いって言うけど、ホンマやったわ。

デザートも食べ放題やで！とまるで5歳児のように盛り上がっとる宮。会話聞いてや皆。これイケメンちゃうかった。


「Aは何食うん？」
「あー、えっとな」

お肉やったらアタシ牛タン好きや。
そう言うと、店員さんを呼んだ宮は食べ放題でー…と注文を始める。

やっぱデートなんかな！？せやったらアタシ化粧大丈夫か？服装は？

デートなんかここ数年してへんから色々忘れとる…デートでこんなに考えたん初めてした時くらいやでホンマに。
アタシもまだまだやな、とか思って水を飲む。


「なぁ、これ食ってええかな」
「おん、ええんちゃう。アタシの財布に入っとるん諭吉さん2人やけどな」
「大丈夫や、俺の財布野口さん2人やから」


こいつアタシに奢らすつもりか。
そんなんデートちゃうぞ。

大丈夫かな、と財布を見る。諭吉さん3人おったわ。多分大丈夫。

どこらへんが大丈夫なん？と言ってアタシは網の上のお肉をひっくり返した。
こんなん全然デートちゃうわ。どちらかと言えば子守…。

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