いや、私女子なんだけど。［３］

９４話 ページ1

「ゑ、やばいめっちゃ早く起きた」

時間は5時。
バスの中で寝たからかな…ランニングでもするかな…。


ジャージに着替えて音を立てないように部屋を出る。

少し肌寒い空気が肌を包んだ。


へぇ…今の時期でも、朝は寒いのか。


「今日は何kmくらい走ろうか…」


毎朝私は、寝坊さえしなければ往復で2kmほど走っている。
迷うと嫌だし……あ、スーパーあったな…あそこで引き返してくるか…。


スーパーを往復地点とし、準備体操を軽くした後走り出す。

知らない風景を眺めながらテンポよく走っていると、横からも誰かが走ってくるのが見えた。


あれは……？


ジッと目を凝らすと、相手も私に気づいたらしい、あ、と小さく声を漏らす。


「浅川くん！」
浅川「えー…っと、Aちゃん…？」
「覚えてたんだ！こんな朝早くからランニング？え、でもどうして…」
浅川「あー…今俺の部活合宿中で」
「部活なんだっけ」
浅川「かるた同好会とFW部。今回はFWで来てるんだ」


大変だね、と言うと、Aちゃんもね、と笑顔で返してくれる。

うぅ…眩しい……。


毎朝走ってるんだ、と意気投合したところでスーパーへ向かう。

俺もついてくよ、と同じペースで走ってくれる浅川くん。
この優しさを見習ってほしいものだ、と思ったが、みんなそれなりに優しかったので兄に見習ってもらおう。


ちなみに昨日の夜、兄と弟からの着信で100件を超えたあたりから見ていない。

あぁ、携帯を見るのが恐ろしい…。
軟禁……にはなるかもしれない、帰ったら重々注意しておこう。


「ここまでくるのに結構時間経ったな〜…今は…6時か…」
浅川「あ、そこにコンビニあるぞ」
「え、嘘。アイス食べたい」


ちゃんとお財布ポケットに突っ込んで来たしね。

浅川くんも財布を取り出してコンビニに入る。
って言うかこれ、朝一緒に走ってるヤバイカップルと思われない？ヤバくないそれ。


自分で言ってそのカップルの怖さに驚いている。え、朝一緒に…？


いや、夜が作る恋があるのだから朝が作り出す恋だってあるはずだ。


1人で納得し、冷凍庫からパ〇コを取り出す。
浅川くんはガリ〇リ君にしたらしい。ソーダ味か…美味しそう…。



ありがとうございましたー、と眠そうな声を背中で聞いて、袋を開ける。

そして上の部分をちぎって口に含むと、ほのかな甘さが広がった。



パ〇コって何気上の部分が一番美味しいよね。
私パ〇コの上の部分貰ったらその人は私が大好きなんだと認識するよ。

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