いや、私女子なんだけど。【番外編】

高野’s birthday 12/3 ページ42

side高野


みなさんは、オレのことを覚えているだろうか。
多分今、本編の方でAと飯食ってると思うんだけど。

まぁ美原とかに比べればあんまり活躍はしてない俺にも誕生日というものはあるもので……。


そしてなんと今日である。


高野「あーぁ…来ねえかなあ……」


美原とか、佐田とか、大門とかはみんなAにプレゼント貰ってるって言ってるし……。
俺の誕生日、覚えててくれるだけで嬉しいんだけど…。


まさか、学年全員の誕生日覚えてるわけねえよなー。


半ばAにプレゼントを貰うことは諦める。


俺ははぁ、とトイレの窓から外を見てため息を吐いた。
お前辛気臭え溜息つくなよ、と手を洗いながら言うのは、同じクラスの津田。

ハンカチ持ってね？と隣の男子に聞いている。


ハンカチくらい自分で持ってこいよ…。


津田「まぁさー、AＢだし？俺らＤだし？棟さえ違うんだから、忙しかったら来れねえだろ」
高野「……まぁそうだよなー」
津田「そんなに気に病むんだったらお前がＢの教室行けば良いじゃん」
高野「俺はお前と違って知り合いがいないの！！」


いないわけじゃないけど……Aに会いに来たって聞いたらそいつら絶対教室には入れてくれねえし。

津田からもらったプレゼントの飴玉を口に含んだ。
フワリと香るイチゴの匂い。


津田「そんな事言わずに言ってみろよ。チキンかよ」
高野「うるせえ恋は盲目なんだよ」
津田「お前何言ってんだ？」


あー……頭おかしくなったかも。

行けとか行かないとか言い合いながら教室に戻ると、俺の机の周りに人が集まっている。


なんだ？誰かの悪戯で俺の机の上にエ□本でも置いてんのかな……。


人を分けて机に行くと、チョコンと椅子に座って男どもの相手をするAが。


……え？


「あ、高野！」


え。マジ可愛い。

どうしたの？と平静を装って返事をする。
津田がニヨニヨうるせえ笑い方してたけど無視。


「今日高野、誕生日でしょ？今さっき教室に来たんだけど、いなくて。無理言って少しここで待たせて貰ったの」
高野「え、あ、そうなの……」
「それとね、これ、誕生日プレゼントなんだけど…高野チョコレート好きだって聞いたから、ショコラ作ってきたのよ。良かったら食べて」


そう言って微笑むAの顔が女神に見えて仕方がなかった。


津田「お前良かったなー」
高野「……まぁな」
津田「俺のお陰かな！」
高野「なんで？」


今年の誕生日は、少しだけ幸せが増えたかも。

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