いや、私女子なんだけど。【番外編】

中学時代 極才学園VER真本 ページ14

side真本


真本「やっべ逃げろ！！」


ただ今逃走中。
リアル鬼ごっこ状態。マジで。


捕まったら教頭の部屋で正座させられるっ…！


真本「俺こっち行くからな！」
美原「おっけ！！俺こっち！」


仲のいい(って言うか幼馴染の)雅敏と別れ、単独行動。

俺は学校外に出て街を歩く。
あー……これマジで見つかったらやべー…。


そう思いながらコキコキと首を鳴らしていると、駅前に着く。


少し喉が渇いたので、自販機にお金を入れて、コーヒーを買った。
と、思ったら間違えて隣のココアを買ってしまった。


……最悪。俺ココア甘くて飲めねぇんだけど。


ジッと缶コーヒーを見つめて、柏木にでもやるか、と思いはぁ……とため息を吐く。



あーぁ、ついてねーの。




「……あのぉ……」


学校に戻ろうと、踵を返すところで裾をキュッと引っ張られる。


真本「えっ」


驚いて振り返ると、そこには綺麗な髪、綺麗な肌、綺麗な瞳の女子。

多分同じくらいの歳だろうが、それにしては大人っぽくも見える。



綺麗な髪をなびかせて、ココア、嫌いなんですか？と上目遣いに訊いてくる彼女。
戦法なのか癖なのか…それともただの無意識なのか……。


どれにせよ、女って怖いな、なんて。


しかも顔が整っている分勘違いさせる事も多いだろう。


この人ストーカーとか大変そうだな、と思いながら好きじゃないっすね、と言う。
すると、捨てちゃうんですか？と心配そうな声。


関係ねーだろ、とか思いながら知り合いにでも、と言えば、あ、そうですか……と分かりやすく肩を落としてトボトボと歩いて行く。

その右手には缶コーヒーの缶が。


真本「……あの、ちょっと！」


もしかして、と思い腕を掴むと、驚いた顔で振り返る彼女。
その顔が今までの綺麗、って言うより可愛くて、その変わった雰囲気にドキッとしてしまう。



「あ、え、ぇっと」
真本「あっ、あの、もしかしてそのコーヒー、間違えて買ったとか…？」


そう聞くと、彼女は恥ずかしそうに俯いて小さく頷いた。

お恥ずかしながら、とそのあとボソッと言った彼女の声。
声までも綺麗なのか……と思いながら、ココア好きですか？と訊いた。


するとあからさまに顔が輝く。


好きなんだな。


真本「もし良かったら、それとこれ、交換しません？」
「え、良いんですか！？ありがとうございます！」


すげー可愛い。


そしてその一年後、まさかの雅敏の知り合いになって会うなんて思ってなかったけど、今でもそのコーヒーを飲み続けている。

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