いや、私女子なんだけど。［２］ (ページ21)

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６８話ページ21

津田「お、普通にうまいぞ」
「え、ホント？」
美原「俺も食う」

そう言ってグミを一粒取り出して口に放り込んだ美原は、しばらく真顔になってから目に涙を浮かべて咳込んだ。
………え、何？

美原「すっげー不味い……」
「えっ」
小田「あ、そうだった。文矢って凄い味オンチなんだった……」
津田「そんなことねーぞ、美味いからな」

津田はそう言って佐田の口にグミを5粒ほど突っ込む。
佐田はその瞬間、凄い速さでグミを吐き出した。

佐田「すっ……っげー不味いぞ」

真剣な顔で私の方を見る佐田の目は、嘘偽りのない目だった。

そんなに不味い？

グミのパッケージを見つめていると、美味いよな？と津田がテロを起こしている。
ダメだよ、津田の舌と私達の舌は多分作りが違うから。細胞から違うから。

小田「文矢、自分で食べなさい」
「小田くんお母さんみたいね」
小田「…そ、そうかな、ありがとう……」

嬉しくなさそうな小田くん。
お母さん、お母さん、といじりだす周り。

小田くん、怒っても良いんだよ？

小田「ちょっと耳塞いでくれないかな？」
「？うん、良いよ」

そう言われ、耳を塞ぐと、しばらくの間何も聞こえない。(あまりに大きい音以外)

そして小田くんに腕を掴まれてもう良いよ、と微笑まれたので腕を下ろすと、もう美原たちは良い子になって座っていた。
え？今の一瞬で何があったの？

津田だけはいつも通りだったけど。

代わり映えに驚きながらも関心する。
小田くん、なんの魔法使ったのか知らないけどありがとう。

津田はおとなしくグミに熱中し始めた。そんなにそのグミ美味しいかな……。

小田「そう言えば、Aちゃんって悩みあるの？」
「あぁ……まぁね、人並みには」

どんな？と驚いた様子で訊いてくる小田くん。

そうだな、こいつらも寝てるし、良いかな。

「こいつら、私に彼氏でもできたらその彼氏殺しに行くとか言い出しそうだなと思って、満足に彼氏も作れないのよ」
小田「あはは、まぁ、言うだろうね」

じゃあさ、と提案でもするように長い人指し指を私の顔の前に出す小田くん。

私はその言葉に耳を傾けた。

何？

小田「極学の中で、作っちゃうってのは？だったら満足するまで殴り通しくらいで許してもらえると思うよ」
「いや、いやいや。それもダメでしょ……って言うか、誰も貰ってくれないって」

扱い見たことある？
もう同学年の同性に対しての扱いと一緒だからね？