いや、私女子なんだけど。［２］ (ページ18)

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６５話ページ18

パンッと言うピストルの音と共に走り出す私たち。

私が紙を取って開くと、そこには“方言男子”の文字。

なにこれ仕組まれてる……？
気のせいか……？

でもまぁ、方言男子と言えばあの人しかいないだろう。

「稜くん！！」
界「え、あ、あぇ？A？」
「一緒に来て！」

良いけど…と焦りながらも頷いた稜くんは、そっと後ろを振り返ってビクッと痙攣した後私の手を引いてダッシュでゴールへ向かった。

一体なにを見たのか、私の後ろになにがあったのか…。すげぇ気になるが怖いので聞かない。

司会「ゴール！一位はB組、Aさんです！！お題は“方言男子”！！」
界「へ、あ、ほ、方言男子…か……？」
「稜くん、助かったよー、ありがと！一位にならなきゃダメなんだよ、私」
界「それなら良かった思う……」

まだ理解ができていない稜くんと一緒にテントに帰る。
そして私は第二回戦だ。

「じゃあ言ってくるね～！一位もぎ取ってくるからよろしく！」
美原「あ、待って俺もいく」
野口「俺も」

第1レースで勝った美原と、第5レースで勝った野口が付いてくる。

一人で行動したかったんだけど…まぁいいか。

「次のお題なんだろーね」
美原「今度は学年全員で一気に紙取るらしいぜ」
「紙もビックリね…」

野口がまぁ、この3人の誰かが勝てばいいんだよ、とにこやかに言う。

そうだよね、勝てば勝ちなんだよね、それは。
終わりよければ全て良しって言うし。

「よ～っし！頑張るぞー！」
美原「井の中の蛙大海を知らずって知ってるか？」
「されど空の青さを知るっ！」
美原「はぁ……まぁ頑張れ」

ハチマキを頭に巻いてスタート位置に立つ。

私は女子だからか、ハンデとしてみんなより5m前からスタートらしい。
さっきもその制度欲しかった。

「……目立つな…」
美原「背中綺麗だな、アイツ」
津田「髪の毛サラサラー」
「聞こえてんだよっ！小っ恥ずかしいヤメロ！」
大門「顔赤いけど、大丈夫？」

……やりにく…。

後ろから飛ばされる言葉に一切耳を傾けず、髪をくくり直す。

「選手宣誓ー。私、勝つからね」

ここで諸君、私の足の速さをナメてはいけない。

何を隠そう、中学時代は世界大会に出るほどの陸上選手、しかも短距離派だったんだからな！

ピストルの音が聞こえた。

それと同時に地面を蹴れば、すぐに目の前に紙の置いてある机。

はっはーん、勝ったな。

速くね！？と聞こえてくる声が、優越感を生んだ。