21話※ ページ24
路頭で喧嘩をしながら歩いていると、ポケットの中の携帯が振動する。
「あ、郷田じゃん」
美原「はぁ?おい、消せよ」
「なんでよ。あんたには関係ないでしょー」
美原「チッ…」
うわ、舌打ちしたよこの人。
ねぇ聞きました?今舌打ち……。
美原「お前からメッセージ送られてくるとか郷ちゃんが可哀想だわ」
「いっぺん死ねよ、手伝ってやるからさ」
お前酷くね?と言う美原から渡されたたい焼きを受け取る。
たい焼きに罪はないのだ。
うお、チョコうま。
美原「ふっ…付いてる」
優しく笑ったかと思えば、私の頰にチョコが付いていた模様。
人の失敗とか恥ずかしいとこ見て笑ったらダメって保育園で教えられただろ。
ムッと口を尖らせる私を見てまた笑った美原。
通り過ぎて行く女子高生が、美原に見惚れている。
中身を知ればあの顔も変わることだろう。
「…って、あんたも付いてるよ」
美原「え、どこ」
「ココ」
親指の腹で美原の頰に付いているカスタードを拭う。
うわ、すべすべ…羨ましいんだけど待って。
モチモチしてるし、お前ホントに男子か?
美原「…んだよ」
「いや、はは……お前、女子だろ」
美原「見て確かめるか?」
「あ、いいです」
そういやコイツ実は力も強いし、背も高かったわ。
声もまぁまぁ低いし、どこからどう見ても男子でしたね、悪ぅございました。
黙ってたい焼きを貪る。
あ、待って太るかも。
「…………」
美原「食わねぇの?」
言えない。
急に体重気になったから食べるのが進まないなんて言えない。
心配そうな美原になぜか胸が締め付けられる。
ごめんよ、買ってくれたのに。
「ふ、太りそう…」
美原「大丈夫だ、男は少し肉付きのいい方が抱き心地が良くて好きだぞ」
「でも……」
美原「俺が貰っちゃうよ?」
「…ぃゃ」
じゃあ食え、と言う美原の手には、さっきのたい焼きの袋が握られている。
目にくれって書いてるよ、美原……。嘘が下手ね。
一口どう?と言えば、一口で体重は変わんねぇよ、と言いつつももう目は私の手元のたい焼きに向いている。
うん、嘘つけないタイプなのね。
「いいよ、欲しいんでしょ?幸せおすそ分け、ってことで!」
美原「お前……いいやつだな……!」
「はえ?」
たい焼きあげただけで目潤ませてんだけど。
待って、この男子高生怖い。
ちぎってあげようと、下を向くと、腕がグッと上に挙げられる。
え。
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松々先輩(プロフ) - miyuiさん» ありがとうございます☺️嬉しいです!が、睡眠はしっかりとってくださいねw (2021年12月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
miyui - 夜中、腐女子が(関係無い)布団の中で隠れながらこの小説を読む…あっ、午前2時だ明日学校どうしよう…宿題やってない…終わったああああ(つまり時間忘れるほど面白いってことです) (2021年12月6日 23時) (レス) @page20 id: 5e526ca5d2 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - らっぴょこさんさん» ひぃ……ありがとうございます!!嬉しいですー!!これからも頑張ります! (2020年9月14日 14時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - おにぎりさん» 良いですね、彼氏いらっしゃるんですね……私の元カレは美原って名前でした (2020年9月14日 14時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - 私の彼氏も岩本です。運命ですね (2020年9月14日 4時) (レス) id: 6f3eaef604 (このIDを非表示/違反報告)
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