〜33〜 ページ36
人と違えば排除されるっていうのは、昔からの道理で、私だってこの世界ではいわゆる秩序を乱す危険因子。
そんな私をこのままほうっておくなんて、ありえないでしょ?
「だから、」
私はやめておいたほうがいいよ、と言おうと口を開くと、避けきれないほど近くにカラ松の顔が近づいてきて、驚いて目を見開く以外出来なかった。
ちゅ、と触れるだけのキスで離れていくカラ松の、真剣な顔に見つめられて何も言えなくなる。
褒められたものではない、強引なキス。
それでもカラ松の気持ちが本気だということが伝わってくるのは…。
何か言わなきゃ、と口を開くのに、吐息だけが漏れて。
すると、カラ松はまた私の口を塞ぐ。今度は、溶けそうなほど優しいキスで。
「っ…ん、からっ…ま、つっ…」
「A…っ、俺、こんなの間違ってるって…」
「んんっ…」
キスが長くなるたびに力が抜けて、離れたくても離れられなくなって。
必死に胸を押すけど、それより強い力で押されて。
本当に、ダメなのに、だから私だって一松のこと諦めたのに。
「おい!クソ松なにしてんだよ!!」
「っ…」
ガッと強い音が鳴って、カラ松が倒れる。
息を整える私を見て、カラ松を殴った張本人…一松は、またカラ松に掴みかかった。
「何したかわかってんのか…!」
「…わかってるさ。Aがいつかいなくなるってことも」
「だったらッ…」
「それでも手に入れたいと思うほど、俺はバカなんだ」
静かにポツポツ話し始めるカラ松は、ジッと私を見つめる。
「ッ…そんなの、私だって……私だって、一松のこと、好きだよ」
「は?」
カラ松の胸ぐらを掴んでいた一松の力が抜けて、カラ松がよろける。
好きでも仕方ないことってあるよね。
ロミオとジュリエットだってそうでしょ?好きでも、歓迎されない人たちはいる。
どれほど思っていても、世界がそれを認めてくれないの。
好きに理由なんてないから、その好きを辞めなきゃいけない理由があれば、諦めるしかないんだよ。
「好きってさ、辞めようと思って辞められるもんじゃないんだよね」
それでも、人は簡単に好きを辞めろと言ってくる。理不尽で横暴。世界の縮図だよね。
私たちは世界に生かされている。だから世界が言うことは絶対で、守らなければいけない絶対事項。
「いっそ、消えちゃえればいいのに」
“好き”が無かったことになればいい。
私はどこの世界にも存在しなくて、ただ、消えられたら。
どれほど、幸せだっただろうに。
118人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
松々先輩(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!!これからお話は急展開…できればいいな、と思います!頑張ります!! (2020年10月5日 0時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)
月花 - すっっごい面白いです!頑張ってください! (2020年10月4日 23時) (レス) id: 23cb55ce5b (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - Rain☆さん» ありがとうございます!!了解です!頑張りますね! (2020年5月14日 22時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - 一松!!もう本当に尊いです!一番の推しです!更新頑張ってください! (2020年5月14日 14時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
なー。(プロフ) - ですねー、おそ松さんも3期期待です! (2019年12月11日 18時) (レス) id: 13b122a5bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ