〜28〜 ページ31
───────A。
決して、決して人気のない場所や、多く人の集まるような場所では気を抜いてはいけないよ。
“時空”の歪みに、吸い込まれてしまうから…───────。
「…ん……」
「おはよ、Aちゃん!ぐっすりだったね」
眩しい朝日が入り込む窓の方を見ると、既に起きてスマホをいじっていたトド松と目が合う。
…そっか、昨日はトド松の番だったんだ。
ありがとう、と呟いて体を起こす。
……今日の夢、どこかで……。
「ねぇ、トド松。不思議なこと聞いてもいいかな」
「Aちゃんがこの世界にいること自体不思議なのに、これ以上不思議なことないよー」
「私と同じ事例で転生している人がいるかもしれないの」
あの声は…きっと、亡くなった祖母の声だ。
祖母は昔から私に御伽噺のような話を聞かせてくれた。
周りの人は作り話だと笑っていたけど、祖母は本当にあった話なのだと言って私に語る。
その内容が、今の私の状況と酷似していたような。
「私がこの世界に飛ばされた理由…祖母に何かヒントがあるかもしれない」
「Aちゃんはさ、それでいいの?」
「え?」
どういう…。
不思議に思ってトド松を見ると、私を見上げて少し悲しそうな顔をした。
「帰ったら、一松兄さんと離れ離れなんだよ」
……そうか、そうだよね。
見ないようにしていた現実が突きつけられた。
「…いいよ、それでも」
「なんで?好きな人とは一緒にいたいと思うものじゃない?」
「一般的にはね。私と一松は状況が違うから。私は異世界からの転生者で、一松とはどう間違っても出会わないはずだった人」
この世界に私がきて、生まれすはずだった命が生まれていなかったり、助かるはずだった命が助からなかったりした可能性は高い。
私が関わることで、多くの人が不幸を体験している。
反対に、私が来たことで生まれた命も、出会った人も、助かった命もあるかもしれない。
でもそれは、私が自分勝手に変えたその人の運命。
「運命は変えちゃいけないものなんだよ」
「…でもさー、この世界に来たのだって、Aちゃんの運命じゃん?」
だったらAちゃんが僕たちと出会うのも、一松兄さんのこと好きになるのも単なる偶然じゃなくて、必然だったんじゃないかな。
そう言ったトド松の言葉がストンと胸に落ちる。
それと同時に、ある考えが浮かんだ。
「出会えてよかった。でもね、トド松。結局は私、この世界の人じゃないもの」
いつか帰らなくちゃいけないでしょ?
なら、この恋が育つ前に。
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松々先輩(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!!これからお話は急展開…できればいいな、と思います!頑張ります!! (2020年10月5日 0時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)
月花 - すっっごい面白いです!頑張ってください! (2020年10月4日 23時) (レス) id: 23cb55ce5b (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - Rain☆さん» ありがとうございます!!了解です!頑張りますね! (2020年5月14日 22時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - 一松!!もう本当に尊いです!一番の推しです!更新頑張ってください! (2020年5月14日 14時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
なー。(プロフ) - ですねー、おそ松さんも3期期待です! (2019年12月11日 18時) (レス) id: 13b122a5bb (このIDを非表示/違反報告)
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