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「あ、そろそろ昼休み終わりやな」
「ほんとだ。A、教え方上手いからわかりやすかった。またお願いね」
「お、おん…」

角名はやっぱり最後まで馴れ馴れしい。

教室を出る時、ふと、手を掴まれて足を止めた。

「…?侑?」
「あ、あっ、あのさ!」
「なに?」
「その……真正面から見たら、た…谷間……見えとる…」

…………へっ!?

ばっと胸元を確認すると、暑くて開けていた胸元が曝け出されていた。
ボタンが緩んで取れたらしく、めちゃくちゃ開いている。

侑が途中顔を真っ赤にさせたのは、私の谷間が見えてたから……!?

「ッ〜!」
「言うか迷ってんけど、ちょっと他の奴に見られるのも可哀想やと思って…」
「あ、ありがとう…」

真っ赤になりながら、胸元を閉める。

めちゃくちゃ恥ずかしい…いくら暑くても、開けるボタンは第一までやな。

も、もう顔合わせられへん…お嫁にも行けへん…。

私は逃げるようにその場を後にした。
治に追いつくと、彼は不思議そうな顔でどうしたん?と聞いてきたが、なんでもない、と誤魔化した。

こ、こっ、こんな恥ずかしい思いして、また部活終わりに会わなあかんの!?
無理なんやけど、恥ずかしすぎる。

いそいそと用意していたセーターを着る。

別に、セーターなんか着やんくても、もう谷間は見えてなかったやろうけど、居た堪れんくて。

そうして、放課後。
図書室で勉強していると、眼下をバレー部が走っているのが見える。

先頭は三年生やろか。インターハイに向けて気合十分って感じやな。

その後ろが北さん二年生で、一番最後を走るのが一年か。
強豪なだけあって、めちゃくちゃ人数多い。

マネージャーおらんと大変そうやな…ベンチ入りメンバーも、それ以外も、レギュラー陣からその座を奪おうと努力したいやろに、雑用までせなあかんくて…。
まあ、私には関係ないけどな。

私は、手元の教科書に目を戻した。

で、放課後。19時になって、部活の人たちがゾロゾロ帰っている中、私は家とは逆方向に歩き出す。
勿論、宮兄弟とか、角名も一緒。

「Aチャン、古典続き教えてー」
「A、俺もまだ物理でわかんないとこある」
「A!プリント、授業中に全部解いたで!」
「治はまず授業聞くとこからやな」

呆れた、と溜息を吐くと、治はでもAの方がわかりやすいねんもん、と可愛くもないのに頬を膨らませた。

「Aチャン何にするー?」
「え?何が?」
「夜ご飯。食べて行かんの?もう夜遅いし」

私は時計を見て、頷いた。
鉄火丼にしよ…。

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2024年3月6日 3時

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