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一気にまくし立てて花魁は叫んだ。それは魂の叫びのようで。

今まで我慢してきたことを、死んでからやっと言えたかのような。


「わっちはそれでも美しいと人に謳われんした!それでもわっちの心は満たされることを知りんせん!おぼこ(※)を捨てた罪悪感に苛まれんした!美しいと言われるのがわっちにとっては皮肉でしかありんせん!おぼこを捨てた時から、わっちは───────!」
「もう良いです。もう、良いですよ。楽になってください」


大声でまくし立てる花魁の言葉を途中で遮ったAは、ソッと花魁の頬に触れる。
それにビクリと体を揺らした。


「貴女の苦しみは、充分に理解しました」
「櫻子…!」
「え……」
「幼馴染さんが迎えに来てくださったようですね」


Aは、その凛々しい顔をした男を前にニコリと笑みを浮かべる。

神美と言われていた花魁、櫻子はポロリと一粒、大粒の涙を流す。



吉桜(きさく)…!」


実に、300年ぶりの再会だと言う。


「A…もしかして……」
「幼馴染を探しているから見つけて欲しい、と言う依頼があると言いましたよね?」


そう言って優しい笑みを浮かべるA。


そして、キラキラとまるで花の花弁が舞うように指先から消えて行く。

とても、幸せそうに抱き合いながら。



「……あの方達は、昔離れ離れになってからもお互いを探し求めました。それでも、生きている間に会うことはなかった。そして、死んでからも成仏できずに幼馴染を探して、現世を彷徨い続けていた、ということです」


見つけられて良かったです、と呟いたA。
Aは霊の相談も受け入れているのか……。だからたまにAしかいない部室で話し声が聞こえてくるのか……?


「花魁の一生も儚いものですね。売られ、好きでもない男に抱かれ、それでも想い人を思い続ける……そして遊郭で一生を散らす者もいれば、年季を終えて出てきた頃にはもう復帰できなくなっている者も多い。その中で生きる女は強いですね」


羨ましいものですね、と呟いたAはなぜか悲しそうな笑みをたたえた。

その表情に、切なさを覚える。


「花の色は……移りにけりな、いたづらに…我が身世にふる、ながめせしまに……」
「……小野小町ですか。古典の世界では花は桜のことを指しているんでしたっけ」


丁度いい歌ですね、と笑うA。

純潔で無くなってしまった私は、色褪せてしまった。


いつまでもお慕いしておりんす。桜の花が色褪せても。


どこかでそんな声が聞こえた。



___

※おぼこ…処女。

肆捌:「恋慕の情人」 貴&一→←〃



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松々先輩(プロフ) - 松野美海さん» 自我失礼します……私の推しはもっぱら一松です……あの卑屈感がたまらないです最高です (2022年9月30日 0時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
松野美海 - 凄く面白いです!最初から読んでたら時間が…!つい夢中になってました!更新頑張って下さい!待ってます!ちなみに松々先輩さんはなに松推しなんですか?私はチョロ兄です☆((( (2022年9月30日 0時) (レス) @page28 id: b94de068e4 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - kuuさん» 一「ほんとに、ムカつくよね……一定数いるよ、あーゆうクズ…あ、僕もそれなりにクズだけど。フヒヒ……応援ありがと、励みにしてこれからも頑張るね…」 (2022年1月27日 3時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 子犬の話し本気で泣きました!なんかすごく話しなんですけど腹たちました!こんクソ野郎!すごく怪奇百鬼夜行の話大好きです^ - ^応援してます (2022年1月26日 8時) (レス) @page23 id: 1c1723a482 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 月花さん» チ「あぁ、そうだね、ありがとう。もう4作目になるんだね。これからもよろしくね」夢「えっ、それで終わりですか?もっとあるでしょう!!えーっと、この作品を読んでくれてありがとうございます!是非次回のお話も楽しみにしてください!ありがとうございました」 (2020年10月5日 0時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年2月20日 23時

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