〃 ページ26
「なんにもないですね…」
そう、ホント、なんにもない。
Aと一緒にいて怪奇現象が起きないって…。
なかなか珍しいんだよね、コレがさ。
いつもAと二人でいたら、急にオルゴールが鳴り出したり、耳元でボソボソ声が聞こえたり、挙げ句の果てには気が滅入るほどの冷気。
Aによると俺は霊に好かれる体質らしいし、気をつけたほうがいいんだって。
Aの周りにいる限り、大丈夫らしいけど。
それはさておき、なにも起こらない音楽室はただの暗い部屋。
「なにも起こりませんねー」
お休みでしょうか、と辺りを見回しながら言うA。
幽霊も疲れるんだ、と思った。
「濡れてるかどうか、確かめにさっき近づきましたが一向に濡れる気配もありませんし……」
濡れたらそこ破ってやろうと思ってたんですけど、と続けるAはジッと肖像画を見つめる。
そんなこと考えてるからじゃないの、とは言わないでおく。
怪奇現象くらい、起こればいいのに。
「っ……!」
その時、Aが過剰反応を示す。
何……?
「一松、気をつけてくださいっ!」
「え?」
次の瞬間、鉛筆がすごい速さで飛んでくる。
うっわあっぶね!!
「え、な、なに!?」
「主役のご登場ですよ」
ニッと笑って肖像画の方を見る。
そこには、びしょびしょに濡れた女子生徒が。
前髪で顔は見えないが、A程じゃないけど可愛い。(と思う)
「そう言うことですか……」
「え?」
「あの女の子の髪が肖像画に当たって、紙が濡れていたんです」
だから濡れてんのか……。
変に納得しながら、そいつを見つめる。
一人の時は霊的な存在にはすっごいビビる俺だけど、Aがいると安心感があって何も怖くない。
なんならこっちから近づきに行くレベルだ。
「いいですか、霊に物理はちゃんと効きます」
「え?ど、どういうこと?」
「この前おそ松と一緒に試したらいけたんで」
殴ります?と拳を握ったA。
物理で解決か……Aらしいやり方だ。
それにAなら実態のないものでも触れるんだろう。
「いいよ、やっちゃいなよ」
そう言えば、行きますよー!とウキウキと肩を回す。
はっ!!と掛け声が上がったと思えば、女の子は消え、構えているAだけが残った。
「あるぇ?今ので消滅しちゃいましたかね……」
やばいですね、七不思議の一つを消し去ってしまった、と呑気なAに笑みが溢れた。
あぁ、流石だ。
拾壱:「七不思議五『秘密の地下室』」 貴&カラ→←拾:「七不思議四『濡れる肖像画』」 貴&一
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松々先輩(プロフ) - 兎羽さん» ト「もしかすると、もしかするかもね〜!とにかくすっごい強いんだよ!って言ってた」 (2020年3月13日 16時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 月花さん» 一「へぇ〜…ハムスター、残念だったね。更新頑張るって言ってるから、今度もよろしく。それじゃ、」 (2020年3月13日 16時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
兎羽(プロフ) - 松野家にいる守護霊ってもしかして赤塚s (2020年3月13日 15時) (レス) id: 03c9ebeac8 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 今さっきのコメ間違いがひどくてすみません、私は松がのところは一松がです、スキッテ=イウカは=なくして読んでください。カタコのところはカタコト笑です。ガチで誤字ばっかですみません!いつも応援してます! (2020年3月12日 18時) (レス) id: 23cb55ce5b (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 私のハムスターも3匹死んでしまったのでその霊に一度は会ってみたいと思ってしまう自分がいる… 更新頑張ってください。 私は松がスキッテ=イウカナントイウカ…… (カタコ読みずらかったらすみません。(言うのが恥ずかしい//) とにかく!更新頑張ってください (2020年3月12日 18時) (レス) id: 23cb55ce5b (このIDを非表示/違反報告)
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