怪奇百鬼夜行｛壱｝

〃 ページ23

「おそ松！私初めて危機的状況に立ちました！！」
「そんな声高らかに言うことじゃないと思うけど……」


どうやって出ようか、と考えていたおそ松に話しかけると呆れられたが、まぁいい。
私感動した！


で、どうしよっかな。


「ドアって…本当に開かないんですかね」
「力一杯押しても開かなかったけど」
「えー？そうですか？」


おそ松でも開けられないドアか…私にも無理かなー。

……霊的な力で閉じられてるなら別だけど。



おそ松は除霊力が強い。
と、言っても私ほどじゃない。


おそ松が開けられない霊的な力で閉じられたドア、私なら開けられる可能性があるってことだ。



「……と、その前にー」


この放送室になにがあったか、謎を解こう。
何かないと、そんな七不思議、になるほどの地縛霊になることは稀だ。


ってことは絶対に何かある。



「探しましょ、きっと開かなくなった理由があるはずなんで」



ごそごそと放送室を漁り始めた私に習い、おそ松も探り始める。




「…………ぁ、見つけた」


ん？と私の肩越しに覗き込むおそ松は、あぁ、と声を発した。


「火事か」
「えぇ、そうですね」


きっと何十年前かに火事にあったこの学校。
その放送室に閉じ込められていた人がいたとすれば？それが、一人だったとしたら？


説明がつく。

同じくらいの強さで外から押されているドア。
相手が二人以上なら、男子高校生でも開けるのは難しい。

と、すれば？


「ワトソン君」
「え？」
「謎が解けました」


私、AA。一生の不覚。
見ようと思って見える千里眼の私が見ないでどうするんだ。閉じられる千里眼も考えものだ。

おそ松は見ることができないのに。


「ココの幽霊、一人だと思ってましたが違いました。外にもいるんです」
「外？」
「はい。おそ松の除霊の力でわかりませんでした」


まさか、外に三人いるなんて。
多分先死んだのは外の方だ。


火事が起きて、学校内の二酸化炭素の濃度が高くなる。
そして、一人が窓を開けた。そこで爆発。

その時点でドアを抑えていた二人は死んでいる。

そして、中にいた一人は外の火事に気づかないまま爆発にやられて死亡。


「力が抜けた人間ほど重いものはないですから。死んだ順番は、ドアを抑えていた二人、窓を開けた一人、中にいた一人」


放送室は防音ですから。



それまでの説明をおそ松にすると、だから、焦げ跡。とジッとそれを見つめた。

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