大嫌いな君と【カラ松】

４話 ページ6

「コーヒーで。お前は？」
「じゃあ私抹茶ラテ」

さっさと注文を済ませてしまうカラ松を少し後ろから眺める。
……背中広……。

「お姉さん一人〜？」
「……」

またか…今日はやけにナンパが多いな…。

嫌な顔をしつつ男を見る。
茶髪の髪が目に入った。

「暇じゃないんで」
「そんなこと言わずにさぁ…ちょっとだけ話そ？奢ったげるよ」
「え…奢る…？」

さっき買った抹茶ラテ奢ってもらおうかしら…。
奢るという言葉になびいていると、コン、と頭に何か乗せられる。

「なびくな」
「カラ松。買ってくれたの？」
「お前いなかったしな」

カラ松から抹茶ラテを受け取って、大丈夫です、と男に言う。
もう奢って貰っちゃった。


「お金……」
「いい。俺が払う」

下を向いて台本を読みながら言うカラ松。
少しドキッとしてしまったじゃないか。

「……あ、そうだ」
「ん？」

チュー、と抹茶ラテを吸っていると、不意にカラ松がこっちを向く。
目が合ってすぐに下を向いた。

「奢る、と言われてついて行くのはやめろ。不用心すぎないか？」
「だって奢ってくれるのよ？」
「いつか襲われるぞ、お前…」
「そんなことないわ。だいたいいつも貧乳貧乳うるさいじゃない」
「あれは…＿＿＿＿」


何かを言いかけたカラ松。
でも言葉を切った。

なにを言うのか、とジッと見ていると、なんでもない、と呟いて台本に目を通す。

「……あんた本当に演劇好きね」
「お前も負けてないだろ」
「……そうかもしれないわ。演劇馬鹿なのよ、私達」

最後の一口を飲んで、カラ松から台本を奪う。

「なにするんだ」
「あんたはコーヒー飲んでなさい。台本覚えてるかチェックよ」
「……」

不機嫌そうに眉をひそめ、コーヒーカップを手に持つ。
チラッと上目遣いでカラ松を見ると、早くしろ、と言われた。

「『あんたのこと嫌いじゃないかも…』「『何だよそれ』合ってるか？」合ってるわよ」

被せんな馬鹿、と言うと、言うのが遅いんだよとコーヒーを飲み干す。


「さぁもう良いだろ。明日も学校だ、帰るか」
「そうね……」


まだ帰りたくない、なんて思ってしまった。
これも全部カラ松のせいね。

トボトボと暗くなってしまった空を見ながら帰る。
いつの間にか空はカラ松の色で染まっていた。


「…綺麗」
「……そうだな」


サングラス…いつ渡そう。

チラッと持っている袋を見る。

ドンッ

「っ…ちょ、何で止ま「しー…」……？」


カラ松の肩から向こうを覗くと、カップルがキスしていた。

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