15話 ページ17
「今日から、練習できるのよ?」
「あぁ、そうみたいだな」
放課後。日誌を書いている私達は向かい合わせで座っていた。
私は外を眺める。カラ松は日誌を書く。
私の目線の先には野球をする十四松が。
窓から差し込む赤い夕日は、おそ松を思わせた。
カラ松の色は、いつの間にか消えている。
「……あんた、儚いね」
「どう言うことだ。俺はココにいるだろう」
そう言うカラ松は日誌を書き続ける。
ポキッと芯が折れた。
「はい、芯」
「すまない」
「ヤダ、芯あげただけよ。それより早く書いて」
「お前の分も書いてるんだが…?殴ってやろうか?」
ほら、またこうやって喧嘩になる。
……どうやったら、普通に話せるのか。
「…俺が儚いのは、青色のせいか?」
「え……」
突如話しかけてくるカラ松。
驚いて声が出ない。口が渇いてしまっている。
「確かに、そうかもしれないな。昼間は青い空も、海も、鳥も、花も。黄色い太陽が傾けば、全て赤色に染まる。だが、緑色は染まらない、自らの色を残している。そうして、紫色の空が出るんだ」
「……カラ松、私別にそう言う意味で言ったわけじゃ…」
「…………だがな、俺もAは儚いと思うぞ?」
ニコッと顔を上げて笑ったカラ松から目が反らせなかった。
……何を言っているの?
「そのネックレス」
「あ……」
指差した胸元で光るネックレスは、青い。
「……それは、青く光っている。嬉しいな、お前は今、青色に染められているんだ」
「っ……!」
何言ってるの、とは言えない。
確かに胸元の石は青く輝いている。
つまりは、私は今、カラ松の色で染まっている。私の色なんて忘れてしまったかのように。
だから、私の色は儚い。
簡単に染められてしまう。
「……えぇ、儚いわ」
「……そうだろう?」
しばらくの無言。
練習しましょう、と言うと、あぁ、と短い答え。
『……好き、だって言ったら?』
『さぁな、俺はどう答えるんだろうな?』
今話す言葉が胸に刺さる。
もし、好きだって言ったら?
……もうわかってる。
私が、カラ松の事どう思ってるかなんて。
今までなんで、喧嘩ばかりしてたかも。
カラ松の事、好き。
でも私には大きすぎる想いは、暴言へと変わる。
だから喧嘩するんだ。
お互いの距離がわからないから、喧嘩をする仲だって決める。
それで安心感を得ていた。
それはやっぱり、儚いもので。
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松々先輩(プロフ) - 進撃のカラ松さん» いえいえ〜!こちらこそありがとうございます!あと1話、番外編がありますので、それまで気長にお待ちいただければ嬉しいです! (2019年3月1日 7時) (レス) id: 87a69031e6 (このIDを非表示/違反報告)
進撃のカラ松 - ありがとうございましたぁぁぁぁあ!!良かったです!! (2019年2月28日 22時) (レス) id: 2a91d83e29 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - るんこさん» いえいえ!!こちらこそ、読んでくださりありがとうございます!番外編もありますので、あと二話、よろしくお願いします (2019年2月9日 22時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)
るんこ(プロフ) - 完結お疲れ様でした!このなんとも言えない距離感がすごい好きで、しかも最後の方とか発狂しそうでした笑笑とても面白かったです!素敵な作品をありがとうございました! (2019年2月9日 20時) (レス) id: 01dc95890b (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - よつ葉@原色松推し(´ `*)さん» ありがとうございます!!私もカラ松大好きです!あぁいうノリ好きなので嬉しいです〜! (2019年1月6日 23時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)
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