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「取り合いしないと」出られない部屋【煉獄杏寿郎、冨岡義勇】 ページ25

※リクエストありがとうございます!

その日はとても寒い日だった。
冨岡と雪山での任務を行っていたAは、こんな日は煉獄とがいいな、などと我儘なことを考えていた。

そんな彼女が小石に躓き、それを冨岡が支えて二人で顔を上げた瞬間。もうそこは山ではなかった。


「え…」
「この部屋は…」


二人とも、見覚えのある部屋だ。

白い壁には扉はなく、デカデカと書かれているお題。
今回は、『取り合わないと出られない部屋』。

(取り合う…?何を?)

見たところ、この部屋にはAと冨岡以外に何もない。
無口な冨岡は表情からも考えていることが読み取れず、Aは彼と会話するのは諦め、取り合うという言葉の意味について考え始めた。

───────その時。


「よもや!またこの部屋に入れられるとは!」


耳が破裂するかと思うほどの声量。
疑う余地もなく、同僚の煉獄がこの部屋に来たことを理解する。

人が一人、追加されてしまった。これでお題が完遂できてしまう。

それにしても、取り合うとは……。

Aは冨岡と煉獄を交互に見て、溜息を吐いた。
二人とも、どちらかといえば喧嘩っ早い方ではなく、誰かと何かを取り合うより先に代替案を掲げようとするか、相手に譲ろうとするタイプだ。

この中で一番我が強いとなれば、おそらく自分だろう。


「何を取り合う?」
「……」
「……」


急に静かになった煉獄と、もともと静かな冨岡は、じっと目を見合わせていたかと思えば、お互いにずい、とAの前に出る。


「それでは、今度の休暇にAと出かけるのはどちらか…」
「わかった」
「ん?」
「もしもの話だ」


どうして煉獄と冨岡が、自分を取り合う話になったのか。もっと他に取り合うべきものがあるのではないか。


「こればっかりは譲れないぞ、冨岡」
「譲るも何も…Aと昔から一緒にいるのは俺だ」
「ちょっと待って、二人とも……」


慌てるAに、二人は向き直る。


「Aはどちらが良い?」
「選んでくれ」
「え、えっと……」


真っ直ぐな視線に惑わされ、たじろぐAに念を押すようにさらに身を乗り出した二人。

どちらが良いかなど、決めかねてしまう。
しばらくうんうんと唸っていると、ガチャリと鍵の開く音がする。


「あっ!開いたみたいよ。これでもう大丈夫ね!」
「待て、A。まだどちらと休暇を過ごしたいか決めていない」
「うぅ……」


部屋からは解放されたのに、二人からは解放されないらしい。
Aは何度目かの深い溜息を吐いた。

「接吻を取り合わないと」出られない部屋【煉獄杏寿郎、冨岡義勇、竈門炭治郎】→←「一線を越えないと」出られない部屋【時透有一郎】☆



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松々先輩(プロフ) - ぽれ氏さん» ありがとうございます!リクエスト了解です!リクエスト消化中ですので、少しお時間いただきます。 (3月6日 1時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ぽれ氏 - 全部読みました!めちゃめちゃ良くて惚れました((殴←黙れ☆よかったら悲鳴嶼さんのDキス&一線超えないと出れない部屋見たいです!!よろしくお願いします(*´∀`)ノ (3月5日 1時) (レス) id: c56a87995a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 松々先輩さん» ぜひ!またリクエストしますので、その時はよろしくお願いします✡ヨロ*.꒰ঌ˶'ᵕ'˶໒꒱.*シク✡ (2月29日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ルナさん» こちらこそ、リクエストありがとうございます!ご満足いただけたようで嬉しいです。ぜひまた機会がございましたらよろしくお願いいたします。 (2月28日 15時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - とっても良かったです«٩(*´ ꒳ `*)۶»リクエスト書いてくれてありがとうございます(*´˘`*)♡ (2月27日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2021年8月23日 3時

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