「一線を越えないと」出られない部屋【時透有一郎】☆ ページ24
※リクエストありがとうございます!
下校中、お気に入りのパン屋に寄り道して、これまたお気に入りのクリームパンを頬張りながら少し人通りの少ない道を歩いていた。
いつも三毛猫の寝ている塀の角を曲がれば、自分の家が見えてくるはずだった。
今日は白い部屋だった。
振り返れば、もうそこに小道はなく、白い壁があるだけで、また前を向くと、そこには可愛がっている後輩の双子の兄がいた。
「……」
「……」
お互い顔を見合わせて、黙り込む。
状況把握に時間がかかりそうだ。
「えーっと……時透…有一郎君、だよね?」
「……A………先輩」
「私のこと知ってるんだ」
「そりゃあ、有名人なんで……」
この部屋なんなんだろうね、と話しかけても答えが返ってくるはずもなく、ただ時間が流れる。
仕方ない、と何故か用意されている天蓋付きのベッドに腰掛ければ、有一郎はそんなAから目を逸らす。
大人っぽい彼も、結局は年頃の男の子だ。
そんな有一郎の視線に気がつかないAは、いつになったら出れるんだろうねー、と言いながらベッドのそばについている小さな引き出しを漁っている。
その時だった。
Aが、ぴたりと動きを止める。
「A先輩?」
「なんでもない」
「?なに見つけたんですか?見せてください」
有一郎は彼女が握りしめる付箋のような大きさの紙切れを取った。
そこには、『一線を越えないと出られない部屋』と、マーカーで記されている。
固まる有一郎の隣で、真っ赤な顔をしたAは、彼からその紙切れを取り上げ、床に叩きつけた。
「最低!なんて事させようとしてるのよ!有一郎君、こんなの無視して良いからね。別の方法を探そう」
「は、はい……」
有一郎の胸はドキドキとうるさいくらいに高鳴っていた。
自分と、学園のマドンナが……と考えただけで、緊張して上手く息ができなくなりそうだ。
有一郎は、そのドキドキを誤魔化すように部屋の壁を探る。
その時、Aが突然悲鳴を上げた。
「大丈夫ですか!?」
「っ……」
「えっ!?」
振り返った有一郎の目に飛び込んできたのは、後ろ手に腕を縛られ、ベッドに横たわっているA。
「ゆ、有一郎、君……」
目に浮かぶ涙に、真っ赤になった頬。全てが目に毒だった。
荒い息遣いで、有一郎は彼女の身体に乗り上げる。
「有一郎君……?」
「……ごめんなさい」
謝るなら、しなければ良いのに。
自分でそんなことを思いながら、有一郎はAの制服のシャツに手をかけた。
「取り合いしないと」出られない部屋【煉獄杏寿郎、冨岡義勇】→←「一線を越えないと」出られない部屋【時透無一郎】
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松々先輩(プロフ) - ぽれ氏さん» ありがとうございます!リクエスト了解です!リクエスト消化中ですので、少しお時間いただきます。 (3月6日 1時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ぽれ氏 - 全部読みました!めちゃめちゃ良くて惚れました((殴←黙れ☆よかったら悲鳴嶼さんのDキス&一線超えないと出れない部屋見たいです!!よろしくお願いします(*´∀`)ノ (3月5日 1時) (レス) id: c56a87995a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 松々先輩さん» ぜひ!またリクエストしますので、その時はよろしくお願いします✡ヨロ*.꒰ঌ˶'ᵕ'˶໒꒱.*シク✡ (2月29日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ルナさん» こちらこそ、リクエストありがとうございます!ご満足いただけたようで嬉しいです。ぜひまた機会がございましたらよろしくお願いいたします。 (2月28日 15時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - とっても良かったです«٩(*´ ꒳ `*)۶»リクエスト書いてくれてありがとうございます(*´˘`*)♡ (2月27日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
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