鬼の呼吸の夢主ちゃんで、〇〇しないと出られない部屋 弐【鬼滅の刃】

「横抱きしないと」出られない部屋【不死川実弥】 ページ19

※リクエストありがとうございます！

「ぇ……死ぬ…？」


紙を見て出た一言目がこれである。
怯えるAの横には、目を釣り上げた身体中傷だらけの男が立っていた。

何度見ても怖い。


「わ、私が横抱きします…」
「はァ？お前本気で言ってんのかァ？」


相当な馬鹿だな、と言っている目をAに向ける不死川。
流石に75kgある男を持ち上げるのは無理だろう、と思っての言動だったが、Aをビビらせるには十分すぎる声色であった。

ヒィィ…と情けないくらいの声を絞り出したAはごめんなさい嫌ですよね！と一気にまくし立てる。

どうもAには怯えられる傾向にある風柱。

(ひぇぇ…背中に『殺』って書いてる…！これアレよね、しのぶちゃんが言ってたやつよね！怖い！)

ブルブルと震えて目に涙が溜まるが、とりあえず怖がっているのを悟られないように口角を上げるAの顔は、とても滑稽に見える。が、かなり怖がっているようにも見える。

不死川の背中の『殺』の文字は、『鬼は皆殺し』という意思の表れであり、Aは鬼の呼吸を使う鬼柱、つまり鬼である。
不死川に殺される確率はかなり高いだろう。

恐怖で小の方が出てしまいそうだが、しっかり足を閉じて耐える。


「おいA」
「はいっ！！」
「……お前、本当に鬼か？」
「……？どういう意味ですか？」


仕方ない、もし襲われたら死ぬ覚悟で日輪刀を抜いて応戦しようと心に決めていたAは、突然話しかけられて背筋が凍った。


「鬼に見えねェ」
「え、そうですかね…角がないから？」
「さァな」


ほらやるぞ、とAが乗りやすいように屈んだ不死川。
蜜璃に言われた通りいい人だ、と不死川と話すたびに思うのだが、きっと次に話すときも最初は怯えまくりであろうことは目に見えている。

恐る恐る不死川の首に腕を回し、足を乗せる。
すると、いともたやすく持ち上がる体。やはり男と女の力量の差はいつまでたっても埋まらない。


「……不死川さん、すごい傷ですね」
「あぁん？喧嘩売ってんのかお前はァ！」
「ち、違います！カッコいいな、って！」


そう言うと、不死川はピタッと動きを止め、そのあと頬を染める。
女には顔を見られた瞬間逃げられるため、不死川と関わりを持ったことのある女など数少ない。

Aはその中の一人であり、世間的にも顔の整っている美形。

そんな女に『かっこいい』と言われ、舞い上がらない男はいない。

ガチャッ


「あ、開きましたね……不死川さん？」
「チィッ…オラ鬼狩りに行くぞォ！！」
「！？は、はい！」

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