「お互いに“好き”と言わないと」出られない部屋【黒死牟】 ページ8
※リクエストありがとうございます!
嘘でも言いたくない。鬼に、好きだなんて。
普段は何でもないはずの言葉が、こんなに言いづらいものだったなんて、とAは頭を抱えた。
かくなる上は、と日輪刀を自身の首に押し当てる。すると、同室に閉じ込められた鬼、黒死牟に腕を掴まれてしまい、どうすることもできなくなった。
「っ……離せ…!私が死ねばあんたはずっとこの部屋の中!上弦の鬼をここに閉じ込めておけるなら、これ以上の貢献はないわ…!」
「お前がここで死んでは…あの方が憂いてしまわれる。刀を離せ」
「あっ…」
人を食ったことのある鬼と、食ったことのない鬼の力の差は歴然としている。
Aの握っていた刀は呆気なく黒死牟に奪われ、部屋の隅に投げられてしまった。
(私が死んで、あいつが悲しむならせいせいするわ…)
しかし刀を取られた今、もう自身を殺すような道具は持ち合わせていない。
普通の鬼より再生力は劣るが、それでもAは日輪刀以外では傷つかぬ、不死身の鬼なのだ。
チッ、と盛大な舌打ちをかましたAは、黒死牟の腕から逃れようとするが、やはり彼から逃れることはできそうにない。
「手を離して。穢らわしい」
「手を離せば……お前はまた死に急ぐ」
「……」
何も言い返せなくなったA。
随分大人しくなったAを、黒死牟はじっと見つめた。
鬼であるゆえに太陽を恐れて影を生きた体は冬の月の如く白く、悔しそうに歪む唇は椿のように紅い。
伏せられた長いまつ毛の奥に見える瞳は、宝石でも閉じ込めたのかと思うほどに美しく輝いていた。
長く生きた黒死牟だが、今までこんなに麗しい女に会ったことはない。
彼女の美しさに感心していると、彼女は黒死牟を睨め上げ、何の用、とぶっきらぼうに言い放つ。
「いや…お前は美しい鬼だな」
「……なんの話」
「お前のその美しい瞳に浮かぶ好戦的な光…好ましく思う」
突然囁かれる口説き文句に目を見開くAは、怪訝な顔で黒死牟を見上げた。
六つの目がジッとAを見下ろしている。
さっき言われた言葉を一つずつ咀嚼して理解する。
(美しい…?私の目が?好ましい?どうして)
わけもわからず混乱するAに、次はお前の番だとでも言うように顔を覗き込んでくる黒死牟。
「あ……え、と………あなた、の…惰性を許さず、鍛錬する様は……す、………好き…よ」
「そうか」
さっきの言葉もあいまって、好きと言うのが羞恥を煽る。
ガチャリと開いた扉の音ですぐさま日輪刀を取って顔を上げた時には、もう黒死牟の姿はなかった。
「パーティーをしないと」出られない部屋【不死川実弥、玄弥、時透無一郎】☆→←「ホラーゲームクリアしないと」出られない部屋【魘夢】☆
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松々先輩(プロフ) - ぽれ氏さん» ありがとうございます!リクエスト了解です!リクエスト消化中ですので、少しお時間いただきます。 (3月6日 1時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ぽれ氏 - 全部読みました!めちゃめちゃ良くて惚れました((殴←黙れ☆よかったら悲鳴嶼さんのDキス&一線超えないと出れない部屋見たいです!!よろしくお願いします(*´∀`)ノ (3月5日 1時) (レス) id: c56a87995a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 松々先輩さん» ぜひ!またリクエストしますので、その時はよろしくお願いします✡ヨロ*.꒰ঌ˶'ᵕ'˶໒꒱.*シク✡ (2月29日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ルナさん» こちらこそ、リクエストありがとうございます!ご満足いただけたようで嬉しいです。ぜひまた機会がございましたらよろしくお願いいたします。 (2月28日 15時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - とっても良かったです«٩(*´ ꒳ `*)۶»リクエスト書いてくれてありがとうございます(*´˘`*)♡ (2月27日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
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