【あんスタ】大人気アイドルの現在。3

【幼馴染:もう一人の場合】 ページ7

「はぁ…………、」



本日18回目のため息である。

きらきらと光る太陽に照らされて、Aの綺麗な髪が反射している正午。

お昼を食べ終え、教室に戻る途中の廊下で恭しくため息をついたAはここ最近、ひとつの悩みごとがあった。


『"都"という同じ一年生がいました。』


数日前に創に言われたその言葉。

言わずもがな、悩みの種である。



＿＿＿三宅都。

レオとは違い、もう一人の幼馴染みである。

といっても、向こうは転校ばかりしている家族だったので…幼馴染みになれた期間は僅かだった。

小さい頃はよく遊んだし…いい子だった。"小さい頃"は。


しかし中学生の頃、一度だけ再開したことがあった時には…性格が180度違っていて。

とにかくAに尽くし尽くし尽くしまくりで、何をするのにも常に一緒についてきた。

おまけに家がバカみたいに金持ちだったので、許嫁にしようとしてきたり…妄想を現実にしようとしてきたり。


…とにかく、かなりの妄想癖少年と変わってしまった。これでも小さい頃は、気弱な性格ですごく可愛かったのに。


童顔で前髪がきれいに揃えられたぱっつん少年が、ふと頭に浮かぶ。



「………まぁでも…見間違いならそれはそれで……。」



そうなのだ。僅かな可能性かもしれないが、創の見間違いという可能性もある。

あまり深く考えずに…今日のプロデュースユニットでも考えようと、頭を回転させた時だった。



「………………………っ、」



ふと視界に、小柄な少年が目に入る。

此方を見つめているようで、その場から動かないでいるようだった。


ものすごい嫌な予感である。ものすごいデジャヴである。


少年の息を呑む音が聞こえたと同時に、ふと顔をあげれば…。




「……A………さっ…、」




ぶわぁ…と顔が喜びに染まっていく、一人の少年＿＿＿＿＿＿都が此方を見つめていた。


…Bダッシュといわんばかりに、走り出そうとした時にはもう遅く。



「逃げないで下さいよ〜!!!」



にこにこと笑みを浮かべ、いつの間にか懐にいた都が"いつの間にかAの右手に手錠をつけながら"、楽しそうに呟いていた。

繋がれた手錠を青い顔で見つめながら、震える声で口を開く。




「あー……久しぶり…だな…都……。」

「はいっ!久しぶりですねAさん!!っていうか、もっと喜んで下さいよぅ!僕はAさんと久しぶりに会えて…とぉーっても嬉しいんですから♡♡」




そういって…清々しいほど、にこりと笑った。

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