【あんスタ】大人気アイドルの現在。3

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突然の言葉に表情が固まる。


「そりゃあ感謝は大事だよ?でもさ、"間違えても"って。間違い…失敗しないように、練習するんでしょ?…なのに失敗したらなんの意味もないじゃん。あのさ、お客さんが一体僕らにどういった事を求めてるか分かる?」


冷たい視線のまま、一度目を伏せた日和はつまらなそうに、Aを見ながら言葉を続けた。



「アイドルっていうのは、常に輝いてないといけないの。きらきらしてて魅力的、自分とは程遠い存在である僕らにね、夢を持ってるんだよ。自分もああなりたい、だけどなれない。だからね、そんな彼らに僕らが夢を叶えてあげてるんだよ。つまり、彼らが求めているのは、」



叶えることの出来なかった夢。


そう言って、まっすぐにAを見る日和。


何も間違ってはない…と思う。

実際アイドルの素質があるのはほんの一握り。

その一握りのなかで、さらにふるいをかけられて…輝けるスターが誕生して。

そのスターが叶えてあげる。自分達じゃ到底できるはずのない夢を。



だが。



「…それ、だけじゃない…。」



じわりと言葉を漏らした。


「…あ…アイドルっていうのは、確かに代わりに夢を叶える仕事だけど…。でも、それだけじゃない。夢を与える仕事なんだ…!!アイドルっていう…素晴らしい存在に…貴方もなれる…っていう…、」


「…あのさぁ、ぼくの話聞いて」


「聞いてる!!聞いてた!!」



突然大声を出したAに驚いたのか、冷や汗を流しながら日和が顔を歪ませる。



「確かに全員がなれるわけじゃない…!!でもそんなの他の仕事も一緒だ!!どんなにやりたくても、自分には出来ないものなんていっぱいある…!!それはあたしたちも同じだ!!」



あぁもう何いっているのか。

さっきあったばかりの人に、こんなキザったらしいこといって何がしたいのか分からない。

顔に熱が集中していく。きっと顔は真っ赤だろう。


だが…どうしても言わないといけない気がした。



「あたしは馬鹿だからハッカーにはなれない!あたしは魔法が使えないから、アークプリーストにはなれない!!あたしは裁縫が苦手だから、服屋さんにはなれない!!」


「…ちょ…Aちゃん…?」


「だけど…だけど…きっとアイドルになれなかった人は、これをできる人がいっぱいいる!!」



そこで一度深く深呼吸をしたAは、日和を今度こそ真っ直ぐ見て口を開く。



「だから…だから…将来の道はアイドルの一本道じゃなくて…たくさん道はあるって!!むしろそっちの方がいっぱいあるって!!そっちのほうが楽しいんだって!!知ってほしい!!」

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