妹に疎まれている。【伊弉冉一二三】

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しゅるしゅる…となんとも耳にこそばゆい音を立てながら、じゃがいもの皮が剥けていく。

Aの手から流れるように落ちていった皮は、ぽろりとゴミ箱に落ちていった。


｢A、この人参はどうすればいいのだろうか｣

｢…いちょう切りでも乱切りでもなんでもいい。とりあえず手だけは切らないようにしてね｣

｢ああ｣


絶賛、3人で料理中である。

今は全員野菜の皮むきや野菜を切ったりしているのだが…どうにも俺は除け者にされているようで。

左からA、理鶯っち、俺という順番で並んでいるため、Aと会話しようがなかった。


『……Aも一応公認してくれたせっかくのチャンスなのに』


会話すらまともに出来ない自分に嫌気が刺す。吐きそうだ。

そもそも会話したのなんてここ最近の話だし。

以前は顔を見合わせるだけで脱兎のごとく、すぐに自室に篭もっていたのだから。



『…ああでも』




Aって料理出来たんだな。

一緒に顔を合わせて楽しく料理していたのが、Aが中学生の頃。

その頃はなにも料理なんてできなかったはずなのに……うーん、嬉しいような悲しいような。

包丁で薄く皮を剥きながらそんなことを思った。


｢……おにい｣


…?悲しい??なんでだ?

妹が成長出来ているのは喜ばしいことで。

俺としても料理を作る手間が少し減るからありがたいはずなのに。


｢ちょ…ちょっとおにい｣


なんだ…?この胸の蟠りは。ちょっと気持ち悪い。

得体のしらないものにちょっとずつ精神が蝕れて




｢っおにい!!!!｣



｢うぉぉぁあああ?!!!｣




ぴっ、と何かが指先に触れる。

しまったと思った時にはもう遅かった。

指先が一瞬だけ真っ白になり、すぐに鮮やかな赤い血がとめどなく出てくる。



｢お、ぁ、っぁあ!!｣

｢大丈夫か一二三｣

｢と、とりあえず理鶯っち水道出して!!｣




頭はパニック。口からはわずかな悲鳴が漏れた。

水に指先を当てると、ぴりっとした痛みが脳に直接届き…ちょっとだけうめき声をあげる。



｢はぁぁあ…びっくりした…｣

｢こんな時は小官特製の軟膏があるのだが使用す｣

｢るほどでもないから大丈夫!!｣

｢そうか｣



…その軟膏大丈夫なシロモノだといいんだけど…。


だいぶ血が治まったので、水道を止めて近くにあったティッシュでふくと…うーん、やっぱりまだ微妙に…??


しょうがない。絆創膏貼るしかないか。

俺はリビングに絆創膏を取りに行こうとした時…大慌てでAが入ってくる。

しかもその両手には救急ＢＯＸが。



｢あっ…お、っ…おにい…!!｣


｢A…?｣

〇→←〇

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