夢に溺れて (ページ6)

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陶酔ページ6

あの事を思い浮かべていると、自分の頬が緩んでいることに気が付いた。

「あぁ。本当、気持ち悪い。」

あいつのことが好きなのかと聞かれたら俺は好きだと答えるだろう。

あいつが、熱をはらんだ目を向ける相手は俺だけでいたい。

けれども、どこが好きなのかと聞かれたら俺は答えることが出来ない。

答えが思いつかないわけじゃない。

ただそれを認めたくない、受け入れたくないだけだ。

だって俺はきっと、気持ちよくなりたいだけだから。

劣情を抱き続けながらその気持ちを否定し続けている姿は、さも愚かであるだろうに。

あいつには俺がどんな風に見えているんだろう。

自分の気持ちに振り回されて、自分のことが見えなくなってる可哀相な人？

笑えるな。

そんな可哀相な人と関係を持ち続けているお前も、大概だと思うけど。

家へと歩みを進める。

頭では冷静に考えられることが、更に自分を愚かにしているように感じた。

また体が鉛を含んだように、ずん...と重くなる。

やだなぁ...。

職場へ行く電車に揺られながら、スマホを見る。

TLに流れてくるのは、日常のちょっとしたこと、漫画、アーティストさん、それと”そういうやつ”。

きわどい写真とちゃらんぽらんな文章が投稿されている。

俺もいっそ、こういう相手作ったほうが楽になれんのかな。

このどうしようもない感情から解放される？

ぼんやりとした頭で、そんなことを考えては投降に”いいね”を押した。