夢に溺れて (ページ5)

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「…可愛いかな。俺は蓮の方が可愛いと思うんだけど。さっきの顔とかさ、特に。」
怜央は少しむっとした表情で抓るのをやめるよう俺の両手に手を重ねて、頬から手を離させた。
あ、離れちゃったと思っていたら「可愛い」の言葉が聞こえて来て、声がした方に顔をあげれば俺をじっと見つめる怜央の顔が目の前にあった。

こいつが来る前に可愛いとか口説き合いで散々言われてもこんな、どうしようもなくなることとか無かったのに

…落ち着け。顔に熱を集めるな。

「んーん。俺は可愛くないの。俺が可愛いって言ってるのはお前。…というか、顔近いねん。そんな見んといてや、俺の体穴空いちゃうかもしれへんやろ？」
目を合わせるとどうしても、顔が赤くなってしまいそうで俯いたまま、そう言って、離れるよう、怜央の肩を押した。

「やだ。蓮がこっち見てくれるまで離れない。…それに穴が空いちゃった蓮見たいんだよね。」

予想外の返事で思わず怜央の顔を見上げた。

「え、。…それはなんやろ、上手くいえへんけど、どうにかなっちゃいそうで、怖いし、嫌や。」

「それは安心して。俺がたっぷり愛情を注いであげるから、穴なんてなくなる。…蓮はさ、俺でどうにかなっちゃうの怖いっていうけど、どこかでそうなってみたいって思ってない？」

「は、。」

嫌だって言った。だってそれは自分が自分じゃないみたいのって怖ない？普通に考えて。
でも、そう思ってたけど、怜央にそうなってみたいって思ってない？って言われた時、脳裏に映ったのはお前でどうにかなっちゃった俺。

　…こんな風になってみたい

そう心の中で呟いた。俺は思わずは。って声を出した。
それがどういう意味なのか理解した時、じわじわと顔に熱が帯びていった。

口説きあってる時は気付いていなかったけど、どうやら皆んな俺たちのを見ていたらしく、俺が赤面したところで周りからわっと声が上がった。

口説きあいで負けたこと
タチじゃなくてこれでは、受けであること
柄にもなく魔にうけたこと

色々頭の中でぐるぐるして、恥ずかしくて、片手で顔を隠しながら俺は怜央に言いたい放題言った。

「…っ、こんなの反則やろぉ！毎回爆弾落としやがって！このハイスペック野郎が！」