18話．帰路 ページ42
ついに学校に帰る時間がやってきた。
ひとつ心残りなのが、八代先輩。あんな振り方をして大丈夫だっただろうか？あとから逆上しないか気が気でなかった。
近くに八代先輩が見え、声をかけようか迷っていたところ、逆に声をかけられた。
｢伊桜さん……昨日はごめん！｣
｢え、？｣
何故か謝られた。
｢伊桜さんに惚れたのは顔だけじゃないから。それだけは分かって欲しい｣
そう言って八代先輩は困った笑顔を見せる。
｢わ、私も正直に言うと、食堂での先輩は素直にかっこいいと思いました。こんな私に告白してくれてありがとうございます｣
｢！……うん。君のことはきっぱり諦めるよ。あの人相手じゃ、勝ち目ないだろうしね笑｣
｢え？あの人って＿＿＿｣
そう質問しようとすると笑恋ちゃんから名前を呼ばれた。
｢伊桜〜、もう行くで〜〜！｣
｢は、はーい！じゃあ先輩、失礼します｣
｢うん…｣
頭をぺこりと下げて私はバスに乗り込んだ。
帰りも隣に座ろうとあっちから言ってきたくせに、侑先輩はちゃっかり小桃ちゃんの隣に座っていた。
まぁ私が乗り込むのが遅かったというのもあるが。
｢伊桜、大丈夫か？｣
仕方ないのでお兄ちゃんの横に座り、黙りこくっていると、お兄ちゃんに心配された。
｢おん……｣
そういえば、なんでさっき侑先輩が小桃ちゃんの横に座っててイラッとしたんやろう。
なんの問題もないじゃないか。
｢……何が気に食わなんのやろう｣
｢え？｣
｢え？｣
｢｢…………｣｣
｢もしかして私いま、声に出とった？｣
｢おん。ばっちり｣
｢わお｣
｢どうかしたんか？｣
｢いや、なんでもない…はず｣
｢…………｣
｢眠いから寝るわ｣
苦しい沈黙の後、私は責任放棄をして寝た。
〜笑恋ちゃんside〜
｢はっ…！みんな見ぃやこれ！北さん兄妹が寝とるで?!｣
そんな声が聞こえたのは、帰路に着くバスに乗った少し後やった。
侑先輩は、えっ?!と声を上げて2人の写真をスマホで撮っていた。
コーチに怒られていたけれど。
｢可愛ええなぁ〜！｣
なんや、もう結果は決まっとるやないか。
そんな心配せんでええよ、伊桜。
ここ3日間の伊桜の侑先輩への眼差しを思い出しながらうちはそう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗々(プロフ) - のりりんさん» お話内でも書きましたが、ありがとうございます！面白いなんて言ってくれて…(感激) (2021年3月28日 22時) (
レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
のりりん - とても面白かったです！更新待ってます！ (2021年3月28日 6時) (レス) id: a9987baaee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗々 | 作成日時：2021年3月27日 11時
