17話．合宿最終日 ページ40
私は昨夜のことが忘れられなくて意識が朦朧としていた。あのことは墓場まで持っていこうと思う。
そんな時に追い打ちをかけるように監督から聞いたのは、練習後、昼食にバーベキューをするという話だった。
みんなは飛び跳ねて喜んでいるが、私は今そんな気分ではない。
合宿最終日の練習が終わり、待ちに待ったバーベキューの時間がやってきた。
マネージャーたちは野菜などを切り、部員は石炭に火をつけたりしていた。
私はお肉のパックを開け、トングで並べようとしたのだが、お肉とトングをお兄ちゃんに奪い取られた。
｢えっ｣
｢火が飛んだら危ないやろ。任せとき｣
｢えっでも…｣
｢ええから。箸とか用意してき｣
｢は、はーい｣
結構肉焼くの好きなんやけどな…笑
(↑ただしたいだけ)
しばらくすると、肉焼けたで〜！という元気な声が聞こえてきた。私は一人一人に割り箸と紙皿を手渡す。
｢あ、侑せんぱ＿＿＿｣
｢侑先輩っ、どうぞ！｣
ちょうど侑先輩が近くにいたので私に行こうとすると小桃ちゃんが横から飛び出してきた。
｢｢｢あっ、、｣｣｣
3人で仲良くハモる。
｢ご、ごめん伊桜ちゃん！ど、どうぞ笑｣
侑先輩に渡すのを譲ろうとしてくれているのか、お先にどうぞという動作をする小桃ちゃん。
｢いやいや、ええよええよ。私別の人に渡すから笑｣
｢あ、、なんかごめんね笑｣
小桃ちゃんは困った笑顔で謝る。
じゃあ、と私も笑ってお皿と箸を持っていない人を探しに行った。
侑｢………｣
｢治先輩。お皿とお箸、どうぞー｣
｢伊桜ちゃん！ありがとぉ〜｣
治先輩はにこにこしながら私からそれを受け取る。
｢ツムは？｣
｢あっ、侑先輩はあっち、に……｣
侑先輩の姿を探すと、小桃ちゃんと楽しそうに話していた。
｢どうしたん？｣
治先輩は侑先輩たちの姿をちらりと見た後に、急に黙り込んだ私の顔を覗き込む。
｢い、いえっ、なんでもないです！｣
｢……さよか｣
なんなん…小桃ちゃんのこと、嫌いみたいに言いよったのに……。
なんで………
あんな顔するん？
｢…ん……ちゃん………伊桜ちゃん！！｣
侑先輩たちに視線を奪われて意識を飛ばしていると、治先輩に名前を呼ばれハッとする。
｢あ、、すみません(汗)｣
｢……おんええよ。肉とったるから俺らもあっち行こうや｣
治先輩は笑顔で私の手を取った。こういうことをサラッとやってのけるからモテるイケメンは怖い。
次のページは続きです。短いですがすみません
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紗々(プロフ) - のりりんさん» お話内でも書きましたが、ありがとうございます！面白いなんて言ってくれて…(感激) (2021年3月28日 22時) (
レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
のりりん - とても面白かったです！更新待ってます！ (2021年3月28日 6時) (レス) id: a9987baaee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗々 | 作成日時：2021年3月27日 11時
