14話．ナンパ ページ37
どうしよう…。助ける？
いや、助けないと…！じゃないと何のために来たのよ！！
「あっ、笑恋ちゃん！帰ろっ！」
周りの男の人に気が付かないフリをして笑恋ちゃんの腕を掴む。
「伊桜ちゃん?!」
「えーなになに？この子のお友達？君も可愛いねぇ〜。これからちょっとええ所行くんやけど、君も一緒にどう？笑笑」
うわっ、酒くさい…！
男たちは下品な笑みを浮かべながら私たちに近寄ってくる。
「いえ、いいです…！」
私がこう断ると、相手は手を伸ばしてきた。
その時＿＿＿
「おい、何やっとんねん。手ぇ離せや……」
この声は……侑先輩？！
すごい形相をした侑先輩は、私に触ろうとした男の腕を掴む。さらに力を強めたようで、男はうぐっ、と声を漏らした。
すると周りにいた男の仲間が、笑って侑先輩の肩をぽんぽんと叩く。
「まぁまぁ、おにいサン。そんなピリピリせんとw …にしても、どっちも可愛ええよなぁ。髪の茶色い方は胸が好みや。そんで黒髪の方は……」
私は何を言われるのかとギュッと目を瞑る。こういう類の話が私は1番嫌いだ。
「おい。ええ加減にせぇや……」
侑先輩の背後から出てきたのはなんと治先輩だった。
ぼぼ同じ顔なので、怒った顔もそっくりだ。
侑先輩からはギリッと歯ぎしりをする音が聞こえた。
「今すぐ警察に突き出してもええんやぞ…」
男たちを睨みつけながら言う治先輩。
「……あー、やめたやめた。めんどくせぇ。行こーぜお前ら」
男は頭を掻きながら周りの男たちを引き連れて帰って行った。
「………」
「…大丈夫か？」
「あ、はい……ありが＿＿」
「侑先輩、治先輩！ありがとうございます！」
侑「お、おん…」
私がお礼を言うのにどもっていると、小桃ちゃんが先に愛想良くお礼を言う。
侑先輩も心做しか、少し頬を赤らめている気がした。まぁ、真っ暗でそこまで見える訳もなく、あくまでも『気がする』というだけだが。
比べて私は、愛想も何も無い返事だ。声も小桃ちゃんみたいに可愛くないし、こういう時に少しの愛想もない返事しかできない私が嫌になった。
ん？待てよ？
“嫌”？
なんで嫌なんだ？
何が嫌なの？？
侑先輩が小桃ちゃんのことを可愛いと思うことが？
いやいやいや、違う違う！何考えとるん私！
そんな考えを振り切るために帰ることを促した。
この日の夜は、あまり眠れなかった。
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紗々(プロフ) - のりりんさん» お話内でも書きましたが、ありがとうございます！面白いなんて言ってくれて…(感激) (2021年3月28日 22時) (
レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
のりりん - とても面白かったです！更新待ってます！ (2021年3月28日 6時) (レス) id: a9987baaee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗々 | 作成日時：2021年3月27日 11時
