12話．�� 八代先輩 ページ35
えっ、まだやんの?!
「これ以上は申し訳ないですって！もうええです。ありがとうございました…！」
ペコペコと頭を下げて私は体育館を後にしようとした……
のだが、突然手首を掴まれた。
「えっ？」
「えっ？あ、えーと、彼氏とか…いる？」
驚いて八代先輩の顔を見ると、目を泳がせてそう言った。
「いえ。いませんし、恥ずかしながらできたこともありませんね(苦笑)」
「へ、へぇ〜。そうなんだね。モテそうなのに笑笑」
そう言った直後、先輩はハッとして私の腕を急いで離した。…ん？先輩、どこ見てるんだろ…。
先輩の視線の先を私も見る。
「…！？」
お兄ちゃん……
「い、いやぁ、稲高の主将の北 信介くんだよね？この子、伊桜ちゃんだっけ？可愛いね」
「俺の妹になんか用ですか？」
恐らく私がお兄ちゃんの妹とは知らないであろう八代先輩は、世間話のノリでそう言うが、ぴしゃりとお兄ちゃんの冷たい声に遮られた。
「いや…手伝ってただけだよ！」
先輩はそう言って苦笑いをした。
「伊桜、ここ、全部やってもらったんか？」
あ、さっきと同じ冷たい声……
「え、あ、うん。ほとんど…」
「マネージャーの仕事はちゃんとせないかんやろ？」
予想していた言葉を言われた。
「いや…うん、、」
私はなんの反論もできずビクついて口を噤む。
「…まぁまぁ、そんな怒らないでいいじゃん。俺が勝手にやった事だし。それに……」
”下心があって”
え？
視線をあげると先ほどのような爽やかな笑顔を浮かべる八代先輩。ばちり、と目が合う。
「恋愛をしに来たんなら帰って下さい」
私の前に立ち八代先輩を睨みつけるお兄ちゃん。
「行くで、伊桜」
そう言うと、お兄ちゃんは私の手を取って歩きだした。
「……あ、あのっ、お兄ちゃん！八代先輩そんな悪い人じゃないと思うんだ！すごい紳士やったし！」
焦って変な弁解をする。弁解というかもはや庇ってるだけだけど。
「……気をつけりぃ」
お兄ちゃんはそれだけ言って、それからは一言も喋らなかった。
その後はひたすら練習、練習、練習。
今日は基礎練習だったので走り込みをしたり個人練習をしたりしていた。
一日目の練習はそれで終わり、私たちはお風呂に行く用意をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗々(プロフ) - のりりんさん» お話内でも書きましたが、ありがとうございます！面白いなんて言ってくれて…(感激) (2021年3月28日 22時) (
レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
のりりん - とても面白かったです！更新待ってます！ (2021年3月28日 6時) (レス) id: a9987baaee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗々 | 作成日時：2021年3月27日 11時
