12話．�� 八代先輩 ページ34
さっそく先ほど確認した作業に移る。まずはドリンク作りだが、手は足りているようで体育館倉庫から点数板を出すよう言われたので倉庫の中へ。
電気を付けると、毎日道具を出し入れしているだけあってあまり埃っぽくはなかった。
「えーと、点数板とストップウォッチ…あ、あった」
手前の方にあった点数板は直ぐに見つかったが、ストップウォッチが見つからない。それがありそうな棚の箱を片っ端から開けていく。しかし1番上の段に手が届かない。一生懸命背伸びをしていると、後ろからぬっと何かが伸びてきた。
「うわっ」
そんな間抜けな声を出して後ろを振り向くと、背の高い男子生徒がいた。
「あっ、ごめん。びっくりさせちゃった？」
「いや、あの…」
「取りたかったやつ、これだよね？」
そう言って差し出された箱を受け取る。中を見るとストップウォッチが入っていた。なんでよく使う道具なのに取りにくい上の方にあるのか文句が出そうになったが、今はそれどころではない。
「あ、これです。ありがとうございます」
「ん。僕、神戸○○高校バレー部主将の八代 元基。稲高バレー部のマネでしょ？何年生？」
「1年の北 伊桜です！3日間よろしくお願いします！」
まさかの主将でびっくりした。主将って言ったら多分3年だ。
「こちらこそよろしく」
同じ兵庫県なのに何故か標準語だ。東京から引っ越してきたとかだろうか。気になる…。
「あの、標準語なんですね」
こういうときはもう率直に。
「あぁ、千葉から引っ越してきてさ。東京だと思った？笑」
「えっ、」
思考がバレてた…。
「おっ、当たりか〜笑 それより、1人で道具出すの大変じゃない？手伝うよ」
八代先輩は爽やかに笑って点数板を2個持ちし始めた。しばらくぼーっとしていた私は急いで八代先輩の前に回った。
「先輩っ、後で人が来るので大丈夫です！変わります！」
運動部あるあるのセリフを言って点数板を奪い取ろうとする。
が、
先輩はがっちり掴んで離さない。
「いいよ。稲高を呼んだ側なんだしさ、女の子には重いだろ？これ」
その後は何度持ちます、変わります、と言っても渡してくれなかった。紳士なのはちょっといいなと思ったが、それでは私の仕事がなくなってしまう。いや、現にもうなくなっている。結局全部八代先輩がやってしまい、完璧に準備が出来た体育館を見て、私は呆然としていた。
「………」
「さっ、次は何するの？」
｢………ん？？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗々(プロフ) - のりりんさん» お話内でも書きましたが、ありがとうございます！面白いなんて言ってくれて…(感激) (2021年3月28日 22時) (
レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
のりりん - とても面白かったです！更新待ってます！ (2021年3月28日 6時) (レス) id: a9987baaee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗々 | 作成日時：2021年3月27日 11時
