九日目 ページ11
朝日も見えぬ早朝。いよいよ出立の時。
この街にも家にもいい思い出はあまり無いが、始まりの土地ということもあって少し、名残惜しい気もする。
ボーッと外を眺めていたら、割れに割れまくっている石畳を、硬い鉄で打ち鳴らして、こちらの家に向かってきている音が聞こえた。
「お兄ちゃん！ 馬車が来たよ！」
「あぁ、荷物を運ぶからAは業者の人に挨拶でもしておいてくれ」
丁度、行儀よく立ち止まった馬たちを率いてる業者の人に本で軽く見た位のエセお辞儀をする。
なんとか意図は通じたようで、軽い世間話的な会話をしていたら、私の荷物の分まで持ったディオがやってきた。
それを持ったまま馬車の中に乗り込む。車内は思ったよりも広々としていて、落ち着けそうな空間だったが、私は生まれつきの乗り物酔いマスターなので不安しかない。
馬車なんて振動を直接受けそうな乗り物に乗るのは、ディオの原作初登場シーンで良く存じ上げていたが、それが覆ることはなかった。
「お兄ちゃん、私乗り物酔い……」
「そうだったな、ほら」
そう言うと我が愚兄は手を広げて、おいでのポーズを取った。確かに肩くらいは貸してほしいなとは思ったが、そこまでしろと誰が言ったし。
まさかとは思い、なんの事か分からないフリをして、首を傾げると
「少ない回数だが、乗り物に乗るときはいつもこうして俺が抱きしめて寝てたじゃあないか。小さい頃だったから忘れたのか？」
まさかがそのまさかでした。こう言うと多分聞かないので、対面で座ってたのを隣に座り直して、流石に正面からは嫌だったので横からで交渉成立。
一定のリズムでポンポンと幼児を慰めるかのように叩かれると、まんまと夢の世界に引きこまれました。まだまだ生活リズムは子供のようです。
寝ている間は、全く酔わず起こされたのは遠くからジョースター邸が見える草原だった。その屋敷はとても厳かな雰囲気を醸し出していて、歴史を感じる建物だった。
ディオと軽く言葉を交わすともう目の前には、屋敷の門をくぐったのが見えた。
そして、育ちの良さそうな、まだ幼さが少しばかり残る少年も。
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 403人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kaki氷 - めっちゃ面白いですよ！ニヤつきが隠せませんでしたね！終わってて残念ではありますが、読ませて頂き有難う御座いました！ (11月14日 17時) (
レス) @page36 id: 2e64819f3b (このIDを非表示/違反報告)
死神(プロフ) - とても面白いです！！終わっているのが本当に勿体ないです､､､続きを､､､､！どうか続きをお願いします！！ (2021年10月20日 1時) (レス) @page36 id: e8c18d6184 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新が終わってるのが勿体無いです…続きが気になります! (2020年11月14日 9時) (レス) id: 990f265493 (このIDを非表示/違反報告)
メイム(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: 89648f6823 (このIDを非表示/違反報告)
瑠射 - コーヒー牛乳さん» ありがとうございます！ 無理のない範囲で更新したいと思います！ (2019年2月3日 20時) (レス) id: 62553ed4b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
