ラストリゾートD ページ19
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Aが目を覚ましてから数刻が経った頃、フィールドでは小僧丸が、豪炎寺からのパスを受けるため、駆け出していた。｢小僧丸、お前のその想いに賭ける！｣蹴り出されるボールと共に、豪炎寺から託される。
「スイッチ……オン！｣
憧れの人からボールを受け取った小僧丸のテンションはＭＡＸだ。青いオーラをまとい、「豪炎寺さんからのパス、絶対に決めてみせる！」と気炎を吐いて、シュート技「ラストリゾート」の体勢に入る。
｢あっ……｣
豪炎寺に負けず劣らず、巨大なエネルギーを放出させる小僧丸を観察していた一星は、三人技で灰崎が担当していた二段目の蹴りに、何かを見出した。
｢ラストリゾート！！｣
豪炎寺から継承した小僧丸のラストリゾートが、ここにきてついに炸裂。途上のイタリア勢を次々と吹っ飛ばしながら、ゴールに襲い掛かる。
｢す、すごい！｣
縦横無尽に地への浮き沈みを繰り返し、威力を上げていくシュート力に｢豪炎寺のラストリゾートそのものだ！｣と、円堂の口からも賞賛の声が上がった。
｢くっ…｣
ラケリトが身構える。とうぜんサポーターの力を使わざるを得ない。キーパー技「トリケラ・シールド」で、身をかがめて頭で受け止めるが、シールドは砕かれてしまう。
点が決まった……会場にいる誰もが日本の追加点を悟り、小僧丸が片腕を引き締めた＿＿その時。
｢君たちがラストリゾートを出してくることは、予想済みさ！｣
イタリアのキャプテン、ペトロニオが追いついていた。敵陣から猛スピードで駆け出していたのだ。四肢のサポーターがかつてない放電を始める。右足で踏み込み、両手のこぶしを握って必殺技の体勢。
｢ここで食い止めてみせる……！！｣
まるで武道の型のようだ。紫色のオーラが立ち昇る。ペトロニオは向かってきたシュートに対してそのままシュートを打ち始めた。カウンターアタックだ。
「ラストリゾート
動きは完全にラストリゾートと酷似していた。唯一違うのは、左足の蹴りから撃ちだされたドラゴンが小僧丸の力を圧倒的に凌ぐ威力を持つということだ。
｢なんだと！？｣
｢やはり研究済みだったか｣
驚く小僧丸とは裏腹に、豪炎寺は冷静だ。
渾身のシュートでサポーターはちぎれ飛び、紫炎の龍が反対側の日本ゴールに向かっていくのを見守る中、ペトロニオはその場で静かに膝をついた。
(ここが正念場だ！)
(ラストリゾートを打ち返すのは……)
(ラストリゾートしかない！)
(おう！)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年10月15日 21時
