遂行 ページ41
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FFI準々決勝、日本対ブラジル。
得点差は二対一とブラジル優勢で迎える後半戦。イナズマジャパンは後半から吉良ヒロトに代わり吹雪アツヤ。小僧丸サスケに代わって、剛陣鉄之助を投入。
そして＿＿後半開始のホイッスルが鳴り響く。
「反則に見せずに反則に見せる、か」
始まって早々、ボールを奪われてしまう日本。しかし彼らは取り乱した様子を見せない。それどころか、剛陣が余裕そうな顔で腕を組んで立っている。
「できんのかよ、そんなこと」
「ま、ほんとに反則になっちまうことも……あるかもな」
剛陣が不安視する一方で、隣に並んでいたアツヤが冷ややかな、意地の悪い微笑みを口元に浮かべた。奇を衒った策に悪戯心を擽られたのだろう、イキイキとした様子を見せている。
「そんなことさせない、絶対」
「お、日暮」
しかしそこへ否定的な言葉が投げられると、気分が降下するように、アツヤの口がムッとへの地に曲がる。不満と言う顔を全面に表したような面持ちだ。
「やっぱり優等生様は言うことが違うな。空気が読めないったらねえぜ」
相手を小馬鹿にするように鼻で笑い飛ばし、両手を肩の位置にまで上げて首を振る。そんな彼の態度が気に食わないとばかりに、Aが鋭く睨みつける。
「おっと、怖い怖い」
わざとらしく両手を前に突き出して、思ってもいないような台詞を口にする。そして大袈裟に肩を竦めると、Aの元へと歩き出し「マジになんなよ優等生」そっと囁くような耳打ちを残して去っていく。
「なあ、日暮。さっきからお前ピリピリしすぎじゃねえか？気持ちは分かるけどよ…」
「逆にどうしてピリピリしないんですか」
仲良くやろうぜ、とどこまでも脳天気な剛陣の発言に静かに腹を立たせていたAは、最後にキツく当たるような口調で冷たく吐き捨てると、背を向けて、アツヤとは反対の方向へと歩いて行った。
攻め上がるブラジルを迎え撃つ日本。最前列にはFW陣が待ち構えている。灰崎、水神矢、剛陣の三人だ。FWの位置取りから、守り中心で行くのかと予想されているが、彼らの本命は違うところにある。
「やるぞ」
「お、おう！」
攻め上がるサムエウの両サイドを通過していく水神矢と剛陣。相手の不可解な行動に、サムエウが思わずよそ見をしたその隙を狙って、アツヤがわざと肩をぶつけるような接触を図り、ボールを奪取。
「うわっ…！」
よそ見をしていたサムエウはアツヤの妨害により足が縺れ、誤ってその場に転倒してしまった。
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年9月6日 5時
