星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ48)

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地雷の正体ページ48

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得点は変わらず一対一。

アメリカのスローイングから試合が再開されるも、日本はアメリカゴールを目指せず思うように動けない。ゴール前で混戦状態に陥っていた。

「鬱陶しい！」

「いったいどうしたらいいでゴス……」

守りに徹してばかりで攻めるに攻め上がれず悪戦苦闘していたヒロトは苛立ちから舌を鳴らし、普段は温厚で大人しい岩戸ですらも心を乱していた。

アフロディが、アメリカからボールを奪いとるとセンターラインの前で立ち止まった。そしてスローモーションがかけられたように体を翻す。

「僕の神の目は、既に真実をとらえている」

迫り来る敵選手を前にそう放ったアフロディは再びヘブンズタイムを繰り出した。芸がないと鼻で笑われ打ち破られるも、構わず指を鳴らし続ける。

不発に終わり続けたヘブンズタイムにできた小さな風は回数を重ねることにより旋風へ進化を遂げた。それは土煙を巻き起こし、敵味方構わず襲いかかる。

「あれこそが地雷の正体さ」

アフロディの答えを導く回答に、薄く瞼を開けた者達はアメリカ陣内に渦巻く小さな竜巻を視界に入れた途端、その目を開き切った。

「あれが地雷の正体！？」

地雷の予想を上回る正体に、さすがの光も驚きざるを得ない様子だ。無理もないだろう。フィールドの上で尋常ではない数の竜巻が至る所で回っている。

唖然とした表情でフィールド上を眺める光の隣にアフロディ同様全てを見抜いていた野坂が現れた。

「あの時一見無意味に走り回っていたアメリカイレブンだが、互いに走ってできた風をぶつけ合い、竜巻を発生させていたんだ」

地雷のからくりについて一通り説明を終えた野坂の視線は、光からこちらに向かって歩いてくるアフロディに移され「そうですよね」と問いかけた。

強いて同意を求めるような語気でもなかった野坂の言葉に、アフロディは微笑して頷くと口を開く。

「地面より高い位置に浮いていた竜巻は土や砂を巻き込まず、その姿を見せないまま絶妙なバランスでその場にとどまり続ける」

吹き抜ける風に髪を靡かせながら

天を仰ぐその姿は本物の神様のようだった。

そして彼は人差し指を立てると

「誰かが触れると爆発した」そう付け加える。

「だから僕はヘブンズタイムで土煙を巻き起こし、竜巻の存在を暴かせてもらったのさ」

頭の中でバラバラだったパズルのピースが彼らの説明により次々と嵌められていくのを感じた光は、静かに頭を振ると納得したように頷いた。