天然な神様 ページ33
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たまには遊園地もいいものだね、と素直な感想を述べるアフロディに頬が思わず引きずってしまう。
「もしかして日暮さんも行きたかった？」
「だからそうじゃなくて！」
「それならそうと言ってくれれば誘ったのに。そうか……よし、今度の休みにでも一緒に行こう」
もちろんヒロトくんもね、と真剣な面持ちで顎に手を添えるアフロディに、話が通じないと理解したAは肩を落胆させると気力のない声で返事をした。
「(アフロディさんって神様みたいで手の届かないような存在のイメージだったんだけど……なんていうか、話してみると案外天然なのかも)」
「？」
サッカーのことには情熱的で真面目な彼にも少し天然な部分があるのだと小首を不思議そうに傾げるアフロディを前に彼女は一人頷いた。
「照美、少しいいかな？」
「はい」
析谷に呼ばれたアフロディが背を向けて歩いていく姿をぼーっと見つめていると、不意に横から視線を感じたAが顔を動かすと灰崎と目が合う。
「あ……」
しかし視線が絡み合ったのは一瞬で、そんな小さな声を漏らすと慌てて顔を逸らしてしまう。あの一件があってから彼女は何かと灰崎を避けていた。
「お前、また灰崎となんかあったのか」
「ヒロト……まあ、そんなところ」
「ふーん」
先程までアフロディと話していたヒロトがたまたま見ていたのか頭の後ろで手を組みながらAに何気なく訊ねた。一方の彼女は苦虫を噛み潰したような表情を見せると、歯切れが悪そうに曖昧に答える。
「あんま思いつめんなよ」
「？」
ぽん、と頭に手を置かれたAは同時に何かが置かれたような違和感を感じた。そしてヒロトの手が離れると今度は自分の頭に手を乗せてそれを掴んだ。
「うさぎ？」
「遊園地の土産だ」
拳を開いたその中から姿を現したのは
真っ白な身体にふさふさな身体が
イメージされた兎のマスコット。
「たまたま目に入ったから買ったんだよ。お前好きだろ、そう言うの」
「好き、だけど……貰ってもいいの？」
「お前のために買ったんだから当たり前だろ」
掌にストラップをちょこんと乗せながら不思議そうに見上げるAから、顔を逸らしたヒロトは気恥しげに頬をかいて明後日の方向を向いて話した。
彼なりの照れ隠しのつもりだろう。
(あぁ、結局買ったんだねそれ)
(アフロディさん知ってるんですか？)
(うん。確かヒロトくんも同じものを買っ＿＿)
(だあああ！余計なこと言ってんじゃねぇ！！)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年5月15日 0時
