ダイヤモンドハンド ページ36
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息をするのを忘れてしまうとはまさにこのことだ。フィールドの一角で繰り広げられるクラリオと円堂の熱き戦いに会場全体は静まり返っていた。
「日本のゴールを守ってるのは俺一人じゃない！」
掌で食い止めるにはまだ足りないその力に
円堂は圧倒されながらも仲間たちの声援に
応えるべく最後の力を振り絞る。
「ダイヤモンドレイを止めるための俺のダイヤモンド！」
その熱い思いが形となり、手の中で回転力を増していた「ダイヤモンドレイ」をキャッチするべく円堂は 「スーパーゴッドハンド」をさらに進化させた。
自身の腕をダイヤモンド化させることで硬化した新必殺技「ダイヤモンドハンド」手のひらで真正面からクラリオの放ったシュートを見事に受け止めた。
＜敵が強ければ強いほど自分も強くなる。世界の皆さん、これが円堂守です！＞
今まで空いた口が塞がらずに食い入るようにその光景を眺めていた角馬がマクスター・ランドよりもひと足先に我に返ると、マイクをスタンドごと持ち上げて鼻息を荒くしながら興奮気味に言ってみせた。
その解説者の声に乗せられて静まり返っていた会場が一斉に歓喜の声を放ち沸き上がる。
「やっ…た……円堂さん」
歓声の嵐で会場が揉まれる中、立ち上がったままその様子を見守っていたAは蚊の鳴くような声で呟くと数歩後ずさり、ベンチへと腰を下ろした。
「おいおいマジかよ、マジで止めやがった」
驚愕を隠そうともせず、剛陣は
口をあんぐり開けて円堂を見つめる。
「あの土壇場でスーパーゴッドハンドを進化させるなんて普通思いつかねぇって」
剛陣の左から万作とAを挟んで
さらにその左に座っていたヒロトは
円堂の突飛な行動に
信じられないというような表情で呟いた。
「硬化したダイヤモンドにはダイヤモンドで対抗……考えは安直だけど、真正面からの戦いを好む円堂さんにはぴったりな必殺技かもしれないわね」
「まったく……円堂のやつ、相変わらず想像を超えたことをしてくれるな」
名前にこそ捻りはないものの、どこか円堂らしさを感じられる必殺技にAが緊張で解けた口元を緩ませていると、豪炎寺も同じように腕を組んだまま静かにそっと目を閉じて口角を上げた。
(勝てますよね、この試合)
(ああ。その可能性が十分に見えてきたな)
(そうと決まればここからは応援あるのみね！)
(お前、なんだかそのノリ音無に似てきてないか？)
(……え？)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年4月16日 9時
