星を超えた想いを21【オリオンの刻印】 (ページ39)

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責任ページ39

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「俺は、そんな先輩の悲しむ顔も

俺のせいで傷ついてしまう

先輩を見るのが嫌で…だから

…ごめんなさい」

光の謝罪の言葉を聞いた途端、その意味を理解して、嫌だ。嫌だとでも言うように、肩に額を擦りつけながらを駄々っ子のように頭を左右に振り、背中に回していた腕の力を強めて離そうとしないA。

自分の肩がAの涙で濡れていき

服に染み渡るのを感じながら

光は切なげに目を細ませた、＿＿＿＿その時。

「一星くん、君のその考えは
あまりにも都合が良過ぎないかな？」

明日人でもない、灰崎でもない第三者の声が

Aと光の、さらに下の階段から聞こえた。

こつ、こつ。と階段を上がる二人分の靴音が

バラバラに鳴り響く。徐々に照りつける

夕陽を背に、その姿を光達の前に現し始める。

冷静で落ち着きのある口調だったが

その声には刺々しさが残っていた。

「それに、君はチームにも多大なる迷惑をかけた」

靴音が疎らに止まり、茜色の夕焼けによりシルエットになっていた二つの影が、木々に遮られると、くっきりとその人物の顔を映し出す。

「野坂くん……」

光の肩から頭を上げて、鼻を啜ったAは

声のした方向に顔を傾けた彼女の目に

野坂と、その隣に並び立つ西蔭の姿が飛び込んだ。

「その責任はとってもらうよ」
「責任…？」
「野坂？いったい……」

責任という、聞くに重々しいその言葉に
小首を傾げる光と、灰崎と共に階段を降りて
やってきた明日人が不思議そうに野坂に尋ねる。

「の、野坂くん、待って。
光くんを傷つけるような真似は……」

「安心して？そういうことはしないから」

涙に洗われた大きな眼と、紅色の貝殻のように腫れているAの瞼。

今日一日、彼女の泣き顔しか見ていない

気さえした野坂は、光から離れて

向かい合うように立ったAに歩み寄ると

目尻に溜まる涙を、そっと親指で拭った。

「まず、一つ」

謎の緊張感が走り、野坂の次の言葉に

西蔭以外の者達はごくりと息を呑んだ。

「日暮Aをオリオン財団から守る」
「えっ？」
「それが、君が負うべき責任のひとつだ」

野坂の提言に、ぽかんと小さく口を開ける光。

瞬きを何度も繰り返し、何を考えているか

分からない野坂の灰色に染まった瞳を見据える。

「どういうつもりだ、野坂」
「これは、彼の償いでもある」
「償いだと？」

納得がいかないのか、灰崎は腕を組んだまま

近視眼のように目をするどく細めた。