星を超えた想いを16【オリオンの刻印】 (ページ43)

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蛮声ページ43

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一星を助け出す。明日人のその意見に

反対する声は上がらなかった。やっと

仲間の思いが一つになり、意見が一致した……。

それで決まりだ！そう円堂がいいかけた

＿＿＿＿その時「待てよ！！」

がなり立てるような灰崎の納得がいかないと

言わんばかりの蛮声がミーティング室に響いた。

「可哀想な事情があったら何をやってもいいのかよ」

「確かにそれだけで許しちまうのはなぁ？」

灰崎はきっぱりと言った。そしてAの

隣に立っていたヒロトもまた、肘掛から

腰を上げると、両腕を組んで不満をあらわにした。

何に関してでも、きっぱりと言い放つのが

灰崎とヒロトの性格だった。

そして、断言した事柄が真実であろうが誤まり

であろうが、今の灰崎にはどうでもよかった。

「それは…………」
「ま、待ちなさいよ二人とも！」
「A………」

そこまで言われては何も言い返せず

狼狽し、言葉を詰まらせた明日人を

庇うようにAが灰崎とヒロトの前に躍り出た。

「お願い、やめて…………」
「何をやめろって？」

不快そうに片眉をぴくりとあげて

Aを睨みつけるヒロト。

「一星くんを潰す気でしょ……」
「ほー、よく分かってんじゃねぇか」

感心したような声を出すヒロトだが

その顔は能面のように無に等しい表情をしていた。

「お前らがやらねぇなら俺たちだけでやるまでだ」

そして灰崎もまた、目にも怒りに

似た感情を表して、Aを睨み下げている。

「前にも言ってるでしょ、暴力で解決しようとしないで…………これは世界大会なのよ！一星くんはチームで、私たちの仲間！どんな形でも＿＿＿」

そこまで言いかけた刹那＿＿＿どんっ！

と、ミーティング室にある机が灰崎の

拳によって叩きつけるように強く殴られた。

「その世界大会がオリオンとかいうクソみたいな連中が牛耳ってるからこうなったんだろうが！」

鈍い音と共に、灰崎の唸るような

怒鳴り声がミーティング室に反響して

Aは肩を弾かせると、怯み、狼狽してしまう。

「一星も、その財団の手先だ！どんな理由があろうと、お前を利用したことに変わりねぇだろ！」

Aは「そ、それは…………で、でも…………」と返し、しどろもどろになりながらも目を泳がせ、必死に言葉を探そう試行錯誤する。

しかし、どれも自分の気持ちとはずれているのだろう、苦しそうに顔を歪めながら「一星くんは……一星くんは……」同じ言葉を繰り返していた。