星を超えた想いを13【オリオンの刻印】 (ページ16)

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お誘いページ16

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空砲のピストル音がサッカーコート全体に

響き渡り、それを合図にそれぞれのチームの

先頭者たちが駆け走っていく。

「一緒に遊園地行かない？」

「………は？」

雷に打たれたかのような衝撃が体に走った

感覚とともに鳩が豆鉄砲を食らったかのような

顔をして、口をぽかんと開けたまま

普段の一星からは考えられないような

間抜けな声が聞こえて、Aは小さく微笑んだ。

「隣町にね、最近できた遊園地が

あるらしいの。今なら学生は半額だから

二人でもそんなにお金もかからないよ」

ジャージのポケットからスマホを取り出して、画面をスクロールして、呆気にとられたままの一星に向かって特設サイトを見せるA。

「あ、私から誘ったから

お金のことは一星くん気にしないでね？」

貯金結構溜まってるの、と言いながら

スマホのイナリンクを開き、＜監督＞と書かれた

トーク画面を開くとAは文字を打っていく。

A監督、すみません、私

監督分かっていますよ日暮ちゃん

監督夕方には、帰ってきてくださいね～

Aありがとうございます

監督お土産もお願いしますね～

本当に、この人には何もかもお見通しなんだな……と送られてきた可愛らしい顔文字とスタンプを見つめながら小さく微笑むとAは「了解」のスタンプを送信すると、スマホをポケットにしまう。

「冗談はその見た目貧相な壁だけにしてください」

「残念、私は本気だよ？で、一星くんは今からその"見た目貧相な壁"と遊園地行くの」

顔を引き攣らせる一星の背中を押して柄にもないことを言って無理矢理歩かせる。そして、サッカーコートにいる監督と目が合い、無言で頷き合う。

「イナズマジャパンとか日本代表とか、一星くんの背負ってるもの、この瞬間だけは全部脱ぎ捨てて、変な肩書きも全部ほっぽって遊園地満喫しよう」

ね？、と口元に人差し指にあてて片目を瞑って

そう言うと、一星は驚いたようにぽかんと

口を開けて目を瞬かせたあと、頬をほんのり

色づかせて、Aから目を逸らした。

何も言わない一星をいいことに、Aは

彼の冷たい手をそっと掴むと

そのままサッカーコートを後にしたのだった。

(遊園地久しぶりー)
(後で覚えてろよ日暮A……ッ)
(一星くん、敬語敬語)

(後で覚えてろください先輩)
(やっぱり一星くんスパイ向いてないよ)