囀り ページ26
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アジア予選第二試合が幕を下ろした次の日の朝____
ちゅんちゅん、という小鳥の囀りと窓から差し込む眩しい光と共に今まで気持ちよさそうに規則正しい寝息をついていた少女の瞼がそっと開かれた。
まだ覚醒しきれていない目を擦りながら
ゆっくりとベッドから上体を起こすと突然
腰に激しい痛みが走った。
「いっ……た………」
急に襲った腰の鈍い痛みに顔を歪めるA。
腰を擦りながら「寝違えたのかな……」と
呟いてベッドから足を下ろして立ち上がると
何故か感じたことの無い疲労感に襲われた。
「昨日ボールぶつけられたせいだよね、多分」
派手に転んでフィールドに腰を打ち付けた時の反動が次の日になって来たのだろうと自己解釈しながらAは欠伸を噛み殺して自室を後にした。
「………………体だるい」
食堂へ続く廊下を歩いていると背後から
「おはようAちゃん」と軽く肩を叩かれた。
後ろを振り返ると、そこには吹雪と氷浦の姿。
「おはよー……」
「おはよう日暮」
ふわぁ、と口元に手を当てながら欠伸を
しながら答えると吹雪の隣にいた氷浦が
「眠れなかったのか？」と心配そうに訊ねてきた。
「ううん、昨日はあの後すぐに寝たんだけど……なんか朝起きたら体が全体的に怠くて」
昨日の夜は試合の疲れや色々なことがあってベッドに身を投じるとすぐに眠りにつけたはず。ぐっすり眠れたはずなのに謎の疲労感が残ると話すA。
「試合の疲れが残ってるのかもしれないね」
試合に慣れないうちは疲労が次の日に来ることはよくあることだよ、と吹雪が説明してくれた。
「日暮、本当に大丈夫か？」
「うーんー……」
「危ない！」
氷浦がAの肩に触れた途端、彼女の
身体が突然横へと傾き、そのまま重力に
逆らうことなく倒れていくが、吹雪が
咄嗟に支えたことで地面への激突は免れた。
「ごめん、ありがとう吹雪くん」
「日暮、やっぱり今日は部屋で休んだ方が……」
氷浦が心配そうに顔を顰めていると
その言葉を遮るように「Aちゃん」と
真剣な声色で吹雪に名前を呼ばれた。
「なに？吹雪くん」
「昨日の夜、誰も君の部屋に来なかった？」
突然の質問に瞬きを繰り返す。
「来なかったと思うけど……なんで？」
「本当？」
「う、うん……」
なら、いいんだけど……と目を逸らした
吹雪の表情は少し苦々しいものだった。
事情を知らないAと氷浦は顔を見合わせると
その小首を傾げ合った_____
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年11月23日 17時
