星を超えた想いを9【オリオンの刻印】 (ページ12)

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ラストリゾートページ12

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明日人たちの活躍により、韓国の激しいラフプレーを回避することができた日本はついに反撃にでる。

「必殺タクティクス、柔と剛！」

鬼道からタツヤ、明日人、そして灰崎へと

フィールドに一度もボールを触れさせずに

パスを繋いでいく新たな必殺タクティクス

柔と剛。

FWの灰崎を後方へ、豪炎寺を前線へと

配置することで灰崎の強力なパスは

ゴール前を走る豪炎寺へと繋がれる。

「(いよいよこの時が来た！)」

豪炎寺はフィールドに足をつけ、グッと踏み込むと、ボールに気を溜めて力を全て解き放つ。

「なんだあの必殺技!?」

剛陣が思わず立ち上がる。

「修くんの新しい必殺技.....なの？」

力強さがこちらにまで伝わってくるのが分かった。神々しく輝く自分の幼馴染みに、息をするのを忘れてしまうほどに見惚れていた。

「ラストリゾート！」

クラリオに匹敵する、いや、もしかすると

それを凌ぐことができるかもしれない

豪炎寺の新たな必殺技に会場全体が息を呑んだ。

フィールドの地中に潜り、縦横無尽に

バネのように飛び跳ねるサッカーボール。

その威力は衰えるどころか、ゴールへと近づくにつれて威力は増していく。

誰もが目を見開き、呆然と立ち尽くす中

「(なんだ、このシュートは一体なんだ!?)」

ペクですらも口を開いたまま

呆気にとられていた。

敵選手であるエースストライカーからも

関心を持たせる豪炎寺の放ったそのシュートは、韓国ゴールを激しく揺らした。

おとずれる静寂。

見たことのない凄まじい豪炎寺のシュートに

目を奪われていた者達は、点が入ってもすぐに反応することが出来なかった。

「入った.....！」

Aの声が、静まり返ったベンチに響く。

本職である実況者すらも驚かせた

豪炎寺の「ラストリゾート」は、日本の

観客達の引き金を引かせたかのように、その数秒後にスタジアムが大歓声に覆われた。

「やった.....やった！！修くんが初得点！」

興奮のあまり、ベンチから飛び上がった

Aは隣に座っていた一星の手を両手で

掴んで嬉しそうに何度も上下に振ってみせる。

「え、あ、あの.....」

男の自分とは違う柔らかくてあたたかい、か細い手に、つい頬を染めてしまう一星。

「修くん、修くん！」と彼の名を呼んで

兎のように何度も飛び跳ねては

一星を巻き込むA。正直最初は

迷惑そうな表情をしていた彼だったが

そこは愛想笑いでなんとか誤魔化した。