22話:女神の一人 ページ43
.
円堂守がついに明日人たちの前に
姿を現した。
その圧倒的な存在感に、彼らは唾を飲みこむ。
両チームが入場したことで
映像モニターにスポンサーCMが流れ出す。
「パンダ交通...」
利根川東泉のCMを見ながらAが
ボソリと呟いた。
「タヌキなのにパンダなんてかわいいね！」
両手を合わせて、「かわいい」
なんて声を上げるつくしに、そこなんだ...と
杏奈は呆れた顔で言葉を胸の内に秘める。
選手たちがベンチでウォーミングアップを
行っていると、利根川ベンチから見知らぬ少女がAの名を呼んで、こちらに手を振っていた。
「日暮さーん！」
「木野先輩！」
お互い持ち場からは離れず、大きく手を振る木野秋と、それに応えるように控えめに手を振ったA。
一方で、ドリンクの用意をしていたつくしもまた、彼女に気がついたのか嬉しそうに飛び跳ねた。
「秋ちゃんも利根川の強化委員だったんだ！」
おーい、と嬉しそうにジャンプをして
アピールをするつくしに、秋も嬉しそうだ。
「木野...誰ですか？」
その中で、杏奈だけが秋とは面識が
なかったため小首を傾げて不思議そうに
質問をした。
すると飛び跳ねることをやめたつくしが
ずんっ、と杏奈に顔を近づけて言い放った。
「雷門を勝利に導いた女神の一人だよ！」
両手をめいっぱい広げて、「私たちマネージャーの大先輩なんだから！」と付け加えたつくし。
「まあ、神門さんが知らないのも無理ないかも。マネージャー自体、そんな有名にならないから。」
ふかふかのタオルをベンチへと置いて
杏奈の隣に腰掛けたAが一息つく。
「そんなことないよー！
Aちゃんも十分、有名人なんだから！」
ぐんっ、と次はAに詰め寄ったつくし。
あまりの近さに彼女はベンチから
立ち上がり、両手を前に出しながら
「ち、近いです...」と引き気味に言った。
一歩近づくたびに一歩引いていると
Aの左足に柔らかい感触が襲う。
何かを踏みつけたということを認識した
途端「ぎゃん！」と動物の叫びが聞こえた。
「タヌキ!?」
Aが目を下に向けると、そこには
頭に葉っぱをのせたタヌキが涙を流して
尻尾に息を吹きかけていた。
「ご、ごめんね！
急に踏まれてびっくりしちゃったよね!?」
痛がるタヌキを優しく抱き上げて
子供をあやす様に揺さぶるAの姿に
杏奈とつくしは目を点して呆気にとられていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
