伝説のGK ページ32
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生徒会からの熱い声援を受けたことにより、練習に精を出して意気込む雷門選手たち。優勝したつもりでいる彼らの様子を傍から見ていたAは小さなため息をこぼす。
「完全に優勝した気分でいるみたいだけど...。」
ジト目で「練習しまくろうぜ」と調子のいいことばかりを言う剛陣たちを見つめるAに隣にいた杏奈が口を開いた。
「いいことなんじゃないの？みんな、前よりも確実に強くなってると思うけど。」
「これを見てもそう言える？」
呆れた顔のままタブレットを杏奈に手渡す。
「利根川東泉...次の対戦相手？」
受け取ったタブレットに表示された選手データをスクロールしていた杏奈は、ある人物を目にした途端その瞳を大きく見開かせた。
「このチームにはあの人がいる。彼らが優勝する気でいるのはまだまだ早いってことよ。」
伝説のキャプテンであり弱小校を勝利へと導いた少年、円堂守。今の明日人たちでは、きっと彼らの足元にも及ばないだろう。
早速練習開始だ、と意気揚々としていた雷門選手の元へ更衣室へと到着した監督がつくしを連れてやってきた。
「皆さんやる気ですねぇ、その意気なら先制できるかもしれませんねぇ。次なる強敵にも。」
「次なる強敵？」
監督の意味深な発言に、首を傾げる明日人たち。
それは準決勝の相手が決まったことを告げていた。
「次の対戦相手は利根川東泉です！」
伝説のキーパー円堂守がら強化委員として派遣されたチームであった。
「円堂さんのチーム？」
「あの円堂さんと戦うのかよ...やべぇな！」
武者震いする剛陣にAが盛大にツッコンだ。
「あなた、ここに来た頃は円堂さんの"え"の字も知らなかったじゃないですか。」
つい三ヶ月前まで、サッカー好きなら誰でも知ってるあの円堂守を「誰だそれ」と言って皆を驚かせたのは記憶に新しい。
彼曰く、そのあとしっかり円堂守がどんなに凄かったのか日和たちに教えてもらったらしい。
「そんなことより、円堂さんの弱点十個！」
「円堂くんの弱点？」
いきなり剛陣に弱点を教えてくれ、なんて言われたものだから「うーん」と困ったように唸るつくし。
「熱血バカ。サッカーバカ。負けず嫌いで、人のラインに堂々と土足で踏み込んでくる非常識人。」
「Aちゃん、ズバズバ言い過ぎ...。」
真顔でズバズバとAの口から容赦なく飛び出した言葉に、つくしが引き気味に笑う。弱点でもなければ、最後に至ってはただの愚痴でしかない。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
