花屋とギャルソンの僕ら

ギャルソンの僕 24 ページ43

マイコとは昨日会って来たよ

と言ったたいすけ


どきどきと心臓が早鐘のように打って、先を促すこともできない

苦しくなってパーカーの胸のところをぎゅ、っと掴んだ



「ちゃんと、話しを聞いて、お別れし直して来た

もう、心残りはぜんぜんないよ

会って来て、よかった」




「へ...」


たいすけがあまりにもあっさりと、なんでもないことのように言うので、まぬけな声が漏れてしまう



「じゃ、さっき電話してたのは...」



「あ

　そうだ、それも、ごめん...横尾さんなんだ


ひろみつに会いたくて、住所聞いてたんだ

仕事先なのに、勝手なことしてごめん」


俺が勘違いして会話を遮ってしまった相手は、横尾さん...

だったんだ...


一気に力が抜けてしまい、呆然と椅子にもたれかかった

「そ...
なんだ...」


「...俺がマイコのところに行くと思って、心配してたの...？」



「う...ん...」



「...行かないよ


今日はひろみつと約束してたじゃないか

どうやったらひろみつに会えるのかって、そればかり考えてたよ




...ねえ ひろみつ


マイコのところに俺が行っちゃうかも、って心配してくれてたのは、

俺のこと好きになっちゃったから、って思って、
間違いないのかな...」





それは俺が初めてたいすけに会った時に、俺が聞いたことだった


あの時薄々は思ったけど、こんな風に聞かれたら、なんて答えたらいいか分からないし、だいぶ恥ずかしかった


すると


「まだ、俺もどうしていいのか分からない

でも、ひろみつと一緒にいたいと思ってる...

だめ、かな」


たいすけが、言った

ギャルソンの僕 25→←花屋の僕 19 -Last-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す