花屋とギャルソンの僕ら

ギャルソンの僕 20 ページ33

とうとう約束の日の朝

今日まで電話に出なかったのは俺なのに、たいすけのことが気掛かりで、どうしようもない気持ちを抱えながらとりあえず家を出て来た


1週間前のあの日、
今日の時間だけは決めていたが、待ち合わせなどはまた前日にでも相談しようと言っていた


その約束の11時まではまだ2時間ほどある

たいすけは俺の家を知らないから、あとはカフェに来るほかに、俺とは連絡の取りようがないだろう


たいすけからは昨日まで毎日着信が残ってがいたが、今日はまだ来ていない

どうしようかと迷いながら、家を出て、たいすけの花屋に向かう




店に近づくと、お休みのはずの店のシャッターは開いていて、ガラス張りの店内にたいすけの姿が見えた


どき、と心臓が音を立てる


照明は点いていないが、差し込む朝の光で良く見える、久しぶりのたいすけ


春を感じさせる、初めて見るノーカラーのストライプシャツとカーディガン姿のたいすけが、俺の目にすごく爽やかに映る



...良く似合ってる


思わず見惚れていると、
半分開いた店の入口から、ぼそぼそと話し声が聞こえて来た


内容までは聞き取れなかったが、携帯で話をしているらしく、その声がだんだんはっきりして来る


話しながらたいすけが出口に近づいてくるので、おれのほうが慌てて建物の影に隠れた


扉を閉めて、鍵をかけているたいすけ




「.....わかった...本当にありがとう

じゃあ、俺今からそっちに...」





たいすけ、どこか行くの？


やっばりマイコさんのとこ？


良くないと思いながらもそこまで聞こえてしまい、


我を忘れて咄嗟に後ろからたいすけの腕を掴んでしまった

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