花屋とギャルソンの僕ら

ギャルソンの僕19 ページ29

「これは俺の持論なんだけどさ、きたみつ


俺、今の自分を大切にしないと、納得の行く未来にはいけないと思ってるんだ

あの時もっと、あの人を大切にしておけば良かったって、後悔だけはしたくないと、いつも思ってる

だから全力で目の前の人を愛したいし大切にしたい



もっと自分を大切にしろって、がやさんに言ったんでしょ？

きたみつだってそうだよ


周りからどう見られるだろうとか、世間的なこととか、
一度全部頭から取り払ってみたときに、


そこに大切なものだけが残っているはず


きたみつにはどんな気持ちが残ってる？」






それは...


でも、だってそんなの



「俺...

俺そんなの、簡単に取り外せないよ

おれはそんな、みやっちみたいに強くないよ」



「そっかー...そうだよなあ」


みやっちは、そんな俺を否定することは、なかった



「うん、きたみつが思う通りにすれば大丈夫だから


長い付き合いだからわかるけど、がやさんはきっと、きたみつが自分のことのように一緒に怒ってくれたことがうれしかったんだと思うよ

怒ってなんかいないから、普通に連絡してごらんよ」


「...うん...」


そう言ってもらっても、
おれの頭の中は、なぜかまだスッキリしない


「彼女ね、俺も知ってる人なんだけど、がやさんの同僚の彼と別れたって噂があって

おれ詳しいこと、がやさんから何も聞いてないし、今日きたみつと会うことも言ってないんだけど、

前に聞いた時、
彼女に会うって言ってた日、確か明日だったと思うんだ

かなり気持ちが揺れてたから、彼女と仲直りするのかも知れない

でも、きたみつが大丈夫なら、なんにも問題ないね！」






つきん、と胸が痛んだ






明日...




明日は俺と約束した日、だったのに...


俺と連絡が取れないから、俺と出掛けるの諦めて彼女に会うことにしたのかな




彼女と、仲直りしたら、




それでも俺たちは友達だと思うけど、




忙しくなって
俺とご飯行ったりしてくれなくなるのかな




綺麗な色のカクテルを一緒にのんでくれなくなったり



ひろみつは可愛いねって笑ってくれなくなったり




寒い日にマフラーを貸してくれなくなったり





するのかな...











俯いた瞬間、




ぽろ、っと




自分でも知らない内に涙が、溢れた





みやっちはそれを見て、優しい笑顔で俺の頭をぽんぽんとしながら、



自分の気持ちに素直にね、と言った





そして、気づいてしまった





自分の本当の気持ちにー

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