花屋とギャルソンの僕ら

ギャルソンの僕16 ページ26

それから数日の間、たいすけから何度も着信が残っていた

メールも来たけれど、電話に出ることも、返信することもできなかった



明日はもう、一緒に出掛ける約束をしていた日だ

でも、どうしたらいいか、いくら頭で考えてみてもわからなくて逃げ続けていた



仕事でもつまんないミスばかりしているから、横尾さんもさすがに心配していた

いつもは仕事終わりにいろいろ教えてくれるんだけど、帰って休んだ方がいいと言われてしまう始末だった




...こんなちょっとしたことで、こんなに動揺するなんて

過去、恋人と別れた時だって、
こんなに自分を見失うことは無かったと言うのに



...いや、俺にとってはちょっとしたことなんかじゃ、
なかったんだ...



たいすけを傷つけてしまったかもしれないことも、

たいすけが彼女といつか会うのかも知れないと言うことも、

...ともだちと思っていたたいすけに抱きしめられたことも



ぜんぶ、ぜんぶ、消化し切れない出来事だったんだ









その日、店の前を掃除していると、宮田さんが通りがかって声を掛けられた



「きたみつ！

久しぶりだね 最近あの店でもゲームでも会わないけど、いそがしかったの？」



「みやっち...」



「あれ、元気ない？
もしかしてなんかあった？」



みやっちはたいすけから何か聞いたりしていないんだろうか


「...みやっち、最近たいすけと会った？」

「いや俺もこの時間にこっちに来るのが久しぶりだから、1週間くらい会ってないよ」

「...そっか」

どうやら本当に何も知らないみたいだった


「きたみつの心配事、ガヤさんに関係があるの？」



黙って俯いていると、


「よかったら話聞くよ？」

「...みやっち」

この人はたいすけと親友だけど、
俺とも友達だ



...きっと、信用できる



「俺...

考えたけどぜんぜん分からなくて」


「うん」

みやっちはその優しい笑顔で俺を安心させてくれた

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