天使のみつ 3rd

天使の宏光5 K -LAST- ページ47

「俺にも良く分からないんだけど…

みつの能力が、俺の中にあるってことなんじゃないかと思ってる」



立ち上がり、藤ヶ谷のそばに立った


その胸に手を置くと、とくんとくんと脈打つ心臓の音と、ぽかぽか温かい熱


これは、藤ヶ谷の心が温まっている証拠


いつも
天使のみつがほっぺたで感じていたもの




「ほら…
こうすると、藤ヶ谷のことが分かる」



俺をじっと見つめたまま、藤ヶ谷がその手をそっと握った







「いつもいろいろ我慢してたんだな




でもこれからは、痛いとこがあれば俺が治す



辛いことがあれば半分もらってやる



藤ヶ谷が俺のことを心の中で呼んでくれたら、すぐに駆け付ける」




「北山」




「だからいつも、心のままに生きていい」








赤い目をした藤ヶ谷が、顔を隠すように俺の頭を胸に抱いた






ほっぺたがくっついて、まるでみつになったみたいで気持ちよくて、すり…と頭を擦り付けて目を閉じるとその内、身体全部が藤ヶ谷に包まれた








「…まだ言ってなかったよね」










「…なにを？」

















「……好きだよ、北山…




ずっとそばにいてほしい」














「……うん」









みつが選んだ2日早い『さよなら』は、俺と藤ヶ谷の2人の時間を作るためだったんだと今なら分かる



小さなみつだって、大好きな太輔と最後まで一緒に居たかったのに違いない



でも、もう俺とみつは一つになった

きっと俺が嬉しい時は、みつも同じように喜んでいる


みつを喜ばせるためにも、藤ヶ谷とずっと一緒にいたい









背中に回した腕にきゅっと力を込めると、藤ヶ谷も同じようにしてくれた





そしてその時、藤ヶ谷から嬉しい気持ちが光のように流れ込んでくるのを、幸せな気持ちで受け取った









ー天使のみつー


end

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